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電子の世界にて
電子の世界を訪れる度、
いつもの他愛ないやり取りや、
新たな出会いが生まれている。
すれ違うだけの人。
遠くから見つめてくる人。
手を振ってくれる人。
声を掛けてくれる人。
心へ寄り添ってくれる人。
想ってくれる相手の数だけ
様々な反応と交流がある。
そんな交流の中で、
私はふと思う。
千を越える縁を
こうして紡いできたけれど、
親しく言葉を交わすのは
ほんの一握りの繋がり。
細い糸を掴むような行為だけれど
そこには確かな温もりがある。
スマホの画面から顔を上げた時、
ふと思い出すことがある。
最近疎遠のあの人は
この電子の世界の中で
どんなつぶやきを
残しているのだろうと。
それはきっと
別れた恋人の現在に
想いを馳せる気持ちと似ている。





