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こども
公園ではしゃぐ子どもたち。
その姿に、胸の奥が微かに痛みを覚えた。
「真っ白な、キャンパスみたいだな」
彼等はその筆で、どんな未来を描くのだろう。
そう思いながら、ふと自らの両手を見る。
本当の夢を諦めたのは、いつだったのか。
届くはずが無いと下を向き、
翼をなくした僕は、
分岐点で堅実という道を選んだ。
しかしその道でも、夢や理想は付きまとう。
ひとつ階段を上がれば、また次の階段へ。
人の欲望は果てしない。
夢が叶うことはないのかもしれないけれど、
目標とする場所へ辿り着くために、
僕はこれから先、
いくつの扉を開けることが出来るだろうか。
彼等が持つ、無限の可能性を羨んでしまうほど、
有限を知ってしまった自分が哀しくて。