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ともだち 〜同級生編〜
高校時代の同級生が
テレビに出るほどの
有名人になっていると知った。
「俺、あいつと友達なんだぜ」
得意になって自慢すると、
女性社員たちは黄色い声を上げ、
途端に色めき立った。
気分が良い。
まるで自分が有名人になったようだ。
「彼って、どんな食べ物が好きなの?」
「彼の趣味ってなぁに?」
「あの人、彼女とかいるのかな?」
質問攻めに遭いながら
途端にわからなくなった。
あいつと俺は、ただの同級生。
同じクラスだったけれど、
特別、親しかったわけでもない。
これは友達と呼べるのだろうか。
不意に、目の前へ
境界線が引かれた気がした。
線の内側は友達。
線の外側は知り合い。
きっと俺は、
線の内側には入れない。
友達の定義とはなんだろうか。





