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青空
「守時、どうした?」
オフィスに戻った愛澤は、
机へ伏せる部下の姿に、
いぶかしげな顔を見せた。
「課長、聞いてくださいよ。
音和建設、また契約とれませんでした」
「そうか。
おまえの企画、
悪くないと思ったんだけどな」
守時は勢いよく体を起こした。
「ですよね? いけると思ったのに」
「今回は縁がなかったと思うしかないさ」
「でも、悔しいです」
今にも泣き出しそうな守時の顔。
それを見た愛澤は
意味深な笑みを浮かべた。
「それでいいんだ。
悔しいって気持ちがあれば、
次へ繋がるエネルギーになる。
当たって砕けろ。
まずは動くことが大事なんだ」
「もう、何度も砕けてますけど」
ふたりの笑いが響く。
窓の外には
抜けるような青空が広がっていた。





