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ヒーロー
テレビで見ていたヒーロー。
夢中にさせてくれた彼等が
現実にはいないと知った瞬間、
ひとつ大人になった気がした。
それは、サンタクロースの
真実を知ってしまった瞬間に
どこか似ていた。
そうして思春期も過ぎ、
ビジネススーツへ袖を通しながら、
これもいわゆるヒーロースーツだろうと
ひとり苦笑を漏らした。
君に出会ったあの瞬間から、
僕は、君だけのヒーローで
あり続けたいと願った。
忘れたはずのヒーローという存在が、
いつしか自分の目標になっていた。
あれからどれだけの月日が流れただろう。
生まれてきた我が子を抱いた瞬間、
思わず溢れた涙で視界が歪む。
守るべきものが、またひとつ増えた。
これからの僕は、
君たちのヒーローとして生きる。
角掛みなみ様がYou Tubeにて展開されている「サカイメの書架」。
十二月の応募作品です。





