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ごはん
「ごはん、きちんと食べてるの?」
秋のお彼岸に合わせて、
墓参りのために帰省。
帰宅日の朝、
母親の第一声がそれだった。
「大丈夫だって」
心配をかけたくなくて、
虚勢を張って
その言葉をやり過ごす。
仕事は激務で低賃金。
睡眠不足に、偏った食事。
「栄養を付けないと、体が保たないわよ」
全て見透かしたように、
お袋の味が食卓へ並ぶ。
嬉しさと懐かしさが込み上げて、
なぜか視界が滲んで見えた。
「お弁当も作っておいたから。
帰ったら食べなさい」
風呂敷に包まれた弁当箱を渡された。
「ありがとう」
照れくささを誤魔化そうと、
つい、ぶっきらぼうな態度。
その晩、包みを開けると、
弁当箱の他に、紙幣の入った封筒が。
やはり、あの人には敵わない。
角掛みなみ様が展開されている
「サカイメの書架」にて採用して頂きました。
下記リンクから動画を見ることができます。是非♪
https://www.youtube.com/watch?v=VJ5Jxf2HSmQ





