64/136
まるで怪物を見るような
ハロウィンだと騒ぎ立て、
怪物の姿へ扮した
若者たちが街に溢れている。
「元々は秋の収穫を祝うものだ。
悪魔払いの意味を含んだ
宗教的な行事なのに」
足下でのたうつ様を見ていたら、
気分が高揚してきた。
「それを勝手に祭りへ仕立て、
どいつもこいつも馬鹿騒ぎ。
いい迷惑だと思わないか?」
私の話に共感してくれたのか、
足下の男はしきりに頷く。
だが、私の心には
不満だけが膨れ上がっている。
今にもこの体を突き破りそうな、
押さえようのない怒り。
「ならば、
どうして君は仮装姿で泥酔している?
どうして我が家の玄関先で嘔吐した?」
「ごめんなさい。許してください」
まるで怪物を見るような表情が不快だ。
それを目掛け、手にした包丁を振るう。





