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満月とハンバーガー
「何してんだ?」
オフィスへ戻ると、
同僚は夜の街を眺めていた。
「月を見てたんだ。満月だ」
「柄にもねぇ事しやがって。
おまえには、満月みてぇな
ハンバーガーの方がお似合いだよ」
買ってきたばかりの夜食を手に取り、
同僚へと放る。
「こいつもおまけだ」
嬉しそうな顔を眺めながら、
奴のデスクへコーヒーを置いた。
何の気なしに夜空を見上げる。
確かに綺麗な満月だ。
「あいつは太陽のお陰で輝けるんだよな。
支えがあるってのはいいもんだ」
「月を見て、感傷的になった?」
その言葉を一笑に付した。
「まだまだ終われねぇだろうが。
この会社を俺たちで変える。
約束、忘れてねぇよな?」
ハンバーガーへ食らいつく。
おまえがいるから、俺も頑張れる。





