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ひとひら
桜を彩るこの紅が、
命を映したものだとしたら、
舞い散る花弁のひとひらさえも、
誰かが生きた想いの残滓。
けれど、その鮮やかさも
思うほどには続かない。
花開き、儚く散るように、
青い星の目へ映るは刹那。
だからこそ僕は、
この星の記憶へ焼き付けるよう、
絢爛豪華に咲き誇りたいと願う。
「君は、どう思っていたのかな?」
はらりと落ちゆく一枚を、そっと掬い取る。
散りゆく命があれば、
生まれ来る命も。
また来年もこうして桜が咲くように、
人の想いは紡がれて。
いつかは僕も散る運命。
その時にはまた、
生まれ来る命の一つとなれますように。
そんな我が儘が許されるのなら、
その時はまた、
あなたと共に咲き誇る人生がいい。