52/136
天の川
「天の川ってネーミング、
センスあるよねぇ」
満点の星空へ煌めく光の帯。
君はそれを
うっとりした顔で見上げている。
「そうだね」
僕は、そんな君の横顔に見とれながら、
胸の中へ込み上げる不安を
抑えきれずにいる。
「空へ川を思い浮かべるなんて、
大胆な発想よね」
「僕にもそれくらいの才能があればね」
つい、そんな言葉が口を突いた。
いつまでこんなことを続けているのか。
答えのない自問自答は続く。
君を待たせてばかりで、
寂しい想いをさせているんだろうね。
「いつまでも待ってるから」
真剣な目が、僕を捕らえて離さない。
「流れに逆らわず、身を任せればいいの。
諦めなければ、チャンスは巡ってくるから」
君はいつでも、僕に力をくれるんだ。
角掛みなみ様が展開されている「サカイメの書架」。
五月の応募作品です。





