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300文字の物語  作者: 帆ノ風ヒロ / Honoka Hiro
春センチメンタル企画 参加作品
3/135

203号室


「また、この季節が来たのか……」


 桜舞い散る桃色の雨。

 春の香りに包まれながら、

 あの部屋からも

 同じ景色を見ていたことを思い出す。


 桜並木に隠れるように、

 その二階建てのアパートは建っていた。


 新しい街、新しい生活。

 社会人としての旅立ちをそこで迎えた。

 会社と部屋を往復するだけの毎日だったけれど、

 振り返ればあの日々も、

 今の僕を形作った大事な要素だ。


 そんな生活の中、

 同棲を解消し、離れていった女性もいた。

 彼女も毎年、あの部屋から見る桜を

 楽しみにしていたっけ。


 桜を見る度、こうして僕を苦しめ続ける、

 愛しい人の影。


 もう会うことはないけれど、

 元気にしているだろうか。


 僕の心の一部は今も、

 あの部屋に取り残されたままでいる。

銘尾友朗さん主催「春センチメンタル企画」参加作品です。

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― 新着の感想 ―
[一言] かつて過ごした部屋、桜を一緒に眺めた人との記憶は、忘れ難いものですね。 読み終えた後、そういえばタイトルが「203号室」だったことを思い出して、もう一回切なくなりました。
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