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運動会
「だから、今日は本当に無理だって。
明日は子供の運動会だって言ったろう?
五時起きで、席取りに並ぶんだよ」
飲みに行こうとしつこい同僚。
押しに耐えかね、
切り札となる言葉を投げつけた。
「おまえの所は小学五年だっけ?
余所のこどもの成長って、
凄く早く感じるよな」
「確かにな。
で、こどもが成長する分、
俺たちも歳を取ってるわけだけどさ」
その言葉に、同僚も苦笑する。
縁とは本当に不思議なものだとつくづく思う。
恋人が出来て、夫婦になった。
子供が生まれて、夫婦から家族へ。
そうして、縁は絆を生む。
それはまるで、命のバトンを繋ぐリレーだ。
「わかったよ。飲みに行くのは諦める。
おまえは帰って、嫁と夜の運動会だな」
「下ネタかよ」





