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花火
闇夜へ打ち上がる花火玉。
その勢いに全てを委ね、
僕の罪を括り付けることが出来たなら。
「た〜まや〜」
隣へ並び、花火を見上げる彼女。
その声は夜空へと消え、
引き替えに現れる大輪の華。
「綺麗」
大気が震え、僕の魂を激しく揺らす。
その衝撃は責め立てるように、
次から次へと押し寄せる。
全てを覆い隠そうと、
つい手に力が入ってしまった。
彼女はそれを勘違いして、
繋いだ手から強い温もりが伝う。
それが一層、僕を苦しめる。
夜空を彩る華々は、
この心を隅々まで浮かび上がらせた。
周囲で起こる歓声は、
こんな僕を嘲笑っているのだ。
折り重なって乱れる、僕とあの子の影。
美しい光の幻想は、
醜い現実をまざまざと見せ付け、
僕の心へ焼き付ける。





