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300文字の物語  作者: 帆ノ風ヒロ / Honoka Hiro
300文字の物語 〜Free Style〜

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135/136

ママにならないで 「古賀コン9参加作品」

 ふたりの生活を楽しみたいから

 子どもは作らないと決めた。


 けれど数年も経つと、

 友人たちも家族を持ち始めた。


 久々に会った友人から長男を紹介され、

 素直に羨ましいと思った。


「やっぱり、子どもっていいね」


 そうして子宝を授かったものの、

 女性から母親になった君を見て、

 取り残された気持ちになった。


 ママにならないで。

 そんなことは言えない。


 男から父親になるには実感が薄く、

 服を着替えるように簡単じゃない。


 心の中に境界線を引かれたような

 やるせなさが残る。


 手の中には、ゲームアプリが開かれた

 スマートフォンがある。


 画面に並ぶモンスターでさえ、

 ゲームの進行に合わせて

 変化を続けている。


「僕も進化するんだ」


 停滞は衰退のはじまりだ。

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