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300文字の物語  作者: 帆ノ風ヒロ / Honoka Hiro
300文字の物語 〜Free Style〜

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131/136

気分ひとつで

「晴れた日には鼻歌が出るし、

 雨の日は溜め息をついて、

 傘を差して歩いていたの」


 真っ赤な傘を差した彼女は、

 足下の水たまりを飛び越えた。


「じゃあ、曇りの日は?」


「折りたたみ傘を持って、鼻歌を歌う」


 その答えに吹き出してしまった。


「まぁ、今の流れだとそうだよな」


「人生って、同じ事の繰り返しだなぁって

 思う日の方が多いよね。

 けどね、気分ひとつで見方も変わるよね」


「そうなのかな?」


「今日は良い日になる、

 って思えば明るく見える。

 最悪の気分だ、

 って思えば暗く見える。

 その日がどうなるかは、

 自分の心持ちで変わると思うの。

 あなたも試してみて」


 彼女が見せたのは太陽のような笑顔。

 その体を蝕む難病すら、

 追い払えたらいいのに。

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