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ロジーナ小品集  作者: 岸野果絵
入門
4/13

おまけ1

 カルロスとロジーナが出て行くと、ニコラスはソファーにふんぞり返った。

「あの子、普通じゃないね」

「やはりそうか」

クレメンスはニコラスの真正面に座る。

「人間だけど、なにか違うんだ。それが何なのか、オイラにもわからない」

クレメンスは腕を組み視線を落とした。


「それより。大丈夫なの?」

ニコラスは身を乗り出してクレメンスを覗き込む。

「ん?」

クレメンスは問うようにニコラスを見返した。

「妹ちゃんがなくなった時と同じくらいの年頃でしょ、あの子」

「うむ」

クレメンスは再び視線を落とすと指を組み、しばらく考え込んでいるようだった。


「償いをしたいのかもしれんな」

クレメンスは「フッ」と自嘲的に嗤った。

「自覚してるんならいいけどさ」

ニコラスはソファーの背もたれに身体をあずけ、大きく伸びをした。

「すまんな」

クレメンスがポツリと言った。

「なぁに水臭いこと言っちゃってるの。オイラとクレちゃんの仲じゃん。それに、お互い様でしょ?」

ニコラスは首をかしげながら、クレメンスを覗き込む。

「そうだな」

クレメンスはニコラスの瞳をじっとみつめ、「フッ」と笑った。

ニコラスはホッとしたかのように微笑むと、ソファーにふんぞり返り、組んだ手で頭を支えるようにしながら天井を見上げる。


「母上が逝った」

ニコラスがポツリと言った。

「そうか」

クレメンスは視線を少し落とす。

「ホッとしたよ。これでやっと縁が切れる」

ニコラスはささやくような声でつぶやく。

「本当にいいのか?」

クレメンスは探るように、ニコラスをじっと見る。

ニコラスは無言で天井を向いたままだった。


「少々もったいない気もするがな。ニコ、お前ならば、きっと立派な」

クレメンスはそこまで言うと言葉を切り、「フッ」っと息を吐く。

「いや。止めておこう。今さら言っても詮のないことだ」


ニコラスは「よっこらしょ」と座りなおした。

「クレちゃん、ありがとう。まだ完全にとは言い切れないけど、オイラはもう大丈夫だ」

ニッコリ笑うニコラスを見ながら、クレメンスは目を細めた。

「そうか。お前は逞しいな」

「クレちゃんのお蔭さ。オイラこれからもタカリに来るからね」

ニコラスはニタァといつもの気味の悪い笑みを浮かべる。

「お手柔らかに頼みたいな」

クレメンスはそう応えると「フフフ」と嗤った。

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