おまけ2
カルロスの報告をクレメンスは腕を組み、目をつぶりながら聞いていた。
「そうか」
報告が終わっても、クレメンスはしばらくそのままだった。
カルロスはクレメンスの様子をじっとうかがっていた。
「少し引き締めねばならぬな」
クレメンスは目を開くと、険しい表情のまま遠くを見つめた。
「忙しさにかまけて、少し注意を怠っていたようだ」
そう言うと、カルロスを見る。
「お前にも苦労をかけたな」
思いがけないクレメンスの言葉に、カルロスは「いえ」と首を横にふった。
「カルロス。夕食がすんだら修練場に来なさい」
カルロスは目を輝かせる。
クレメンスは、魔術師協会の仕事や国からの依頼などで、多忙を極めている。
一番弟子のカルロスといえども、過密スケジュールをこなすクレメンスに直接指導をしてもらえる機会はほとんどない。
いや、一番弟子だからこそ、カルロスはその機会があるときは他の者たちに譲ってきたのだ。
「あのようなシールドで私の弟子と名乗られては困る」
クレメンスはそう言うと「フッ」と鼻を鳴らす。
「ありがとうございます」
カルロスは大声で頭を直角になるくらい下げた。
「うむ。下がりなさい」
カルロスは再び深く一礼すると、部屋を後にした。
クレメンスは立ち上がり、窓際へと移動した。
「さて、どこから手をつけるとするかな……」
腕を組みながらそうつぶやくと、しばらくの間窓の外をじっと眺めていた。




