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原初の地  作者: 竜胆
2章:手血肉燐の都
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彷徨うは微睡と老婆の間にて

出来上がってるとついつい放出したくなる病気も併発してるっていうね。

そして毎回納得できなくなって最初から書き直す病気が止めを刺してくる。

そんな病気のことを6年かけて理解した私は、章が完成するまで投稿しないことを決意したわけです。


だからって、章の終わりまで投稿するとは言っていないっ!

書き直さないとも言っていない!

ついでに一章の改稿や設定変更もバンバン行っていくっ!


因みに作品の完成予定は2040年辺りかなと考えてます。


 剣と魔法と化け物だらけの世界。

 俺が迷い込んだ、この世界だ。


 この世界は、魂の力で満ちている。


 【アウラ】


 そう呼ばれるこの銀色の煙は、魂の中にある力の根源。

 万物に宿るこの魂の力は、地球にある魂をさらに強くしたような力。

 魂の中のエネルギー体とでもいえばいいのだろうか。

 この力の根源は、分解され大気中を彷徨う魔素となり、魔素は体内に吸収されるとマナとなる。

 ……そう言いかえると、全ての根源は魔素ということにもなるがよくわからない。突き詰めると鶏が先か卵が先かという問題になるのだろう。


 魔素、マナ、アウラ、これらの魂の力を使い、人は魔法を使い竜は火を噴きクジラは空を飛ぶ。

 俺が森で吸い続けた呪いの正体も、このアウラという物だったそうだ。

 

 この世界の人は、アウラを吸収することで強くなる力を手に入れた。

 自らの魂に、力の根源であるアウラを直接注ぎ込むのだ。

 こうすることで、人は人である限界を超えてこの世界での生存競争に置いていかれる事無く走り続けてきた。


 だがそれは、魂に直接魂を混ぜるような物だ。

 それはとてつもなく危険なことであり、自分の中に別の魂の残滓が入り込むという事。

 この世界の人々は、それを防ぐために魂にフィルターを持っている。

 生来の物なのだろう。

 まるでそうして生きるために進化してきたようなものだ。


 だが、魂の仕組みの違う俺達は、そうはいかなかった。

 魂の中に、少しずつ異物が流れ込んでいく。

 力と共に、俺の中に人じゃないものが混ざり、透明だった魂は黒く濁っていった。


 ガソリンで動いていた自動車に、軽油を混ぜたようなものだ。

 結果、まさに呪われたようにして狂って行った。

 狂気に囚われ、正気を失い、肉体から魂があふれ出し化け物へと変貌する一歩手前まで踏み込んだ。


「おそらく、そういうことじゃろう。過去の文献にも見た同じ症状じゃな」


 突然、どこかからしわがれた声が聞こえる。

 見渡そうにも、周囲は真っ暗だ。

 当然だろう。俺は今眠っており植物状態のようなものなのだ。


 ……ばぁさん、いくら俺が喋れないからって心を読むなよ。

 これも魂の力という奴の不思議なパワーのなせる業なのだろうか。


「まぁ、そんなもんじゃ。確か話したのはこの辺りまでじゃったな。それじゃ続きを話そうか」


 そういうと、ばぁさんは一人勝手にしゃべりだした。


「濁り切った魂を救うには、魂のろ過が必要だった。不純物を取り除き、さらにはその体……、お主の世界はおそらく魂ではない力の強い世界だったのだろうな。この世界とは真逆じゃ。それはそれで興味深いものだが……この世界で生きるためには、不向きな体じゃった。この世界の人々は魔素と光で物を見る……。お主の体は魔素を殆ど含まないためにこの世界の人……いや、ほとんどの生き物から見ることが出来なかったのじゃろう」


 ……なんてこった、最初に森の生き物がノンアクばっかりだったのってそういう事だったのか。

 じゃあ、何で途中から……?


「この世界の魔素に触れ、食した。さらにお主がアウラを吸ったことで、魂にアウラが流れ込み膨れ上がった魂が肉体からはみ出ていたのじゃろう。相当量のアウラを詰め込んだ魂は質量を持ち、お主の体を変貌させた。今度は、その膨大なアウラを使ってお主の体を構築するというわけじゃ。その際今の肉体はただの付属品へとなり、体と魂の支配は反転する。この世界に適した体となるじゃろう」


 それが転生……か。

 てっきり、本当に生まれ変わるのかと思った。

 転生させられる理由はわかった。適合させるというわけだ。


「そうか、ならば――」


 晶はどうなった。


「む………」


 俺を転生させられるなら、アイツも転生させてくれ。


「それは無理じゃ」


 じゃあ、俺じゃなくてあいつを転生させてくれ。

 あいつは俺なんかよりよっぽどこの世界に向いている。

 よくわからんが、俺の中のアウラって奴を使って肉体を作るんだろ? それならその肉体にあいつの魂を入れられるはずだ。

 

「……無理じゃ」


 なんでだよ!?

 あいつは俺を助けるために死んだんだ!!

 俺が生きてあいつが死ぬなんてそんなの――


「……魂が乱れておる。落ち着け」


 落ち着いてられるか! 

 あいつが転生できないっていうなら俺だって――


「無理だとは言ったが、完全に助けられないとも言ってない。だから落ち着くのじゃ」


 どういうことだ!?

 助けられる!? あいつは死んだんじゃないのか!?


「死んでおるよ。……まだ興奮しておるようじゃな。魂が霞んできておる。このままでは記憶が飛ぶぞ」


 いいから説明しろ!! 俺はあんたに聞きたいことがたくさん――


 …………。


 なんだ、今一瞬意識が途絶えたような……。


「ここまでじゃな。続きはまた今度にしよう。次は落ち着いて話を聞けるように心構えをしておくんじゃぞ。魂が乱れればそれだけ転生に響く……」


 そのまま、声は薄れていきばぁさんの気配は消えた。

 落ち着け? くそ、落ち着いてなんかいられるか。

 アイツを助ける方法があるのなら、すぐにでも起きなきゃ――


 ………………

 …………


 ……なんだ?

 今……寝ていた?

 いや、気を失っていたというか……意識が飛んだというか……。

 まずい、何かが、自分の中の何かが崩れているような……。


 魂が、乱れるってやつか?

 くそ、このままじゃ不味いのだけはわかる。

 自分の中の自分が、妙な焦燥感と共に崩れていきそうなひどく不安定な状態になっている。 


 ……落ち着こう。

 この状況は、焦ってもどうしようもない。

 落ち着いてばぁさんの話を聞くのが一番の近道だ。

 魂が崩れれば、それだけ俺が動けるようになるのも遅れる。


 落ち着け……落ち着け……。

 すー……はー……すー……はー……。

 そうだ、転生さえ済めばどうとでもなる。

 この世界のことはある程度理解できた。


 怪物なんかの危険な要素はたくさんあるが、人が居るし何より剣と魔法の世界だ。

 きっと晶を救う方法というのも、魔法や秘術なんかのなにか不思議な力を使えるという事だろう。

 あのばぁさんの様子だと、何かしら条件を付きつけてくるかもしれないが……何より今は晶を助けることが最優先だ。

 とにかく落ち着いて、ばぁさんの話をゆっくり聞こう。


 ………………

 …………

 ……。


 時々、夢を見る。

 晶と一緒にゲームをしている夢だ。

 その夢は、悪夢のような気味の悪さで終わる。

 笑いなよ。夢の中の晶に、そう言われ続ける。

 最後には、失った左腕の傷口から這い出たダンゴムシに、アリに、熊に……森の動物たちに食われてしまう。

 何度も何度も繰り返し見る夢。


 それから、どれだけ経っただろうか。

 二度とばぁさんは現れることなく、俺の意識は闇の中へと消えて行った。



まだだっ!

まだ俺達にはポイントがっ!

あれさえあれば俺達はまだ戦えるんだっ!!

っく、そんな馬鹿な! 第二形態だとっ!?


おのれ! ポインコーーー!!

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