表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/18

 ……あんなことをしてしまったから、クビだろうと響はうつむく。

 騒ぎのあと、その場を預かるチーフから「とりあえず今日は帰ってくれ」と言われて響は早上がりになった。

 自転車を引き、とぼとぼと辿る家路。

 夕陽はいやに眩しく、綺麗だった。

 バイトはクビになっても、べつに良い。

 せっかく慣れてきたところだったけれど、仕方がない。

 ほかの仕事を探せばいいことだ。

 だが、蜜美のことにはかなり驚いた。

 蜜美とはたくさんの時間を過ごしたわけでもないし、会話するわけでもないが、家での様子は同級生に虐められているようにはまったく見えない。

 寝耳に水。まさかの出来事だった。

(金とか脱がすとか……)

 衝撃を味わいながら家に着く。

 ちょうど母親も、パートから帰ってきたばかりのようだ。

「あら、今日は早いのね」 

 響は言葉を濁しつつ「う、うん」と頷き、自室に行く。ドアを閉じた瞬間、どっと脱力感と疲労感に襲われる。

(正しかった……よな? 俺のしたことは……)

 気づけばあの学生たちに向かっていた。

 見過ごすことなどできなかった。

「なんなんだよ……いったい」

 ベッドに腰かけたが、落ち着かない。

 カフェのバイトがどうなるかもわからないし、蜜美のことも気になる。

 そわそわした響が手を伸ばしたのはアコースティックギター。

 ステージではエレキギターしか持たないけれど、家で弾くときや、作曲をするときはアコギを使うことも多い。

 久しぶりに膝のうえに置いてみると、埃など汚れが目立った。

 まずはそれを、拭いてやるところから響ははじめる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ