嫉妬で狂っちゃう
恋人に見られないのは、悔しさしかない。
「妹さんですか~?」
「仲のいいご兄妹ですね!」
わたしを妹と思う人たちは、二人で街に出るとそうこぞって声をかけてくる。
「恋人なんで」
大好きな恋人さまは、そう言ってくれるけど。
大体の人は、やっぱり疑いの目。それも、悔しい。
「…身長ちっちゃいから?」
「お前がかわいいからでは?」
理由を探してこぼした言葉に帰ってきた的外れな答えを聞いて、恋人に見えない理由を探るのはすぐにやめて。
リアスの一歩後ろを、この人の服の裾をつかんで歩みを進めた。
よく晴れた日曜日。デートの日。
いっしょにお買い物行って、どっかでスイーツ食べて。いっぱいあそぼうね、って昨日まではワクワクしてた。
でも、いざ当日になったら。
人の多い街。声をかけてくる女性陣に。どうしても、テンションは下がっちゃう。
とぼとぼリアスの一歩後ろを歩いていたら、また。
「あの、ご兄妹ですか?」
こうやって、声をかけられる。無意識に、ぷくって片方のほっぺが膨らんだ。
「恋人なんで」
「えー、うそー」
嘘じゃないもん。
伝えるように、腕にギュッと抱き着いた。そんなわたしの頭をそっと撫でて。
「恋人が嫌がってるんで。失礼する」
リアスは、少し早めに歩き出した。
「今日は多いな」
「…かっこいいからじゃない」
「それは知らんが」
困るな、と。道のはずれに入って、リアスはため息。わたしも困る。せっかくのデートなのに。
ギュッと抱き着いて、考えた。
どうしたら、恋人っぽく見られるんだろう。身長? ヒール履けばいいかな。顔立ちは変えられないし。
「…やっぱり発育の問題…?」
「決してそうではないと思うが?」
「だって…」
「それに別に発育も悪くないだろ」
な、と。
何かを思わせるおててはぺしんと叩いとく。くすくす笑うリアスは、困るって言っておきながら楽しそう。
「…やっぱり、きれいなお姉さんに声をかけられるのは、うれし?」
「何故そうなる」
「困るって言ってる割に、たのしそう」
思ったまま、言えば。
「そんなわけないだろ。声は迷惑だ」
けれど、と。
「お前がやきもちを焼くのは嬉しいからな」
「…焼くでしょ、そりゃ」
「普段なんでもいいというような雰囲気のお前が、な」
抱きしめ返されて、あったかい温度に埋もれてく。
「割とやきもちを焼く彼女は嬉しいものだぞ」
「さいで…」
ぎゅっと、さらに強く抱きしめ返して、家でするみたいにすりよった。
リアスのにおい。あったかい温度。
…どうしよう。
今、ここでこんな風にやさしくギュッてされたら。
だめって言うために顔を上げて、名前を呼ぶ。
「…リアス」
「うん?」
そうしたら甘く返されて。あぁもういいやって、口を開いた。
「ひとりじめ、したい」
「!」
今わたしどんな顔してるんだろう。きっとまゆが下がってるのかな。いじけた顔かな。
でも、今は構わずに。
「デートも、行きたいけど」
「……」
「今は、リアスをひとりじめしたい」
ダメ? なんて。
わざと首をかしげて聞いたら。
「仰せのままに?」
大好きな王子さまはわたしにひとつ、キスを落とす。
それに微笑んで、「帰るか」って声にうなずいて。テレポートして家へと向かった。
そうしておうちに帰って、リアスとの時間を堪能したら、寝るときに「やきもち焼かせるのもいいな」なんて言うから、それはお断りしといた。
『嫉妬で狂っちゃう』/クリスティア




