再別
「俺は……弾いた。」
この瞬間、全てを感じ取った。桜梨の最後の一撃を、確実に弾き返した。体に染み込んだ自信、迷いを捨てて突き進んだ自分を感じる。これで、俺の過去とまた一つ、区切りを付けられる。
「俺は勝った。確信したよ。」
勝った、いや、これからだ。これにて全ての障壁は消え去った。それに続くのは、もう恐れることはない、将来像が見える。見えたそのビジョンは、桜梨の緑色から、俺だけの色に変わった。
「ありがとう。こんな俺に優しくしてくれて」
桜梨のおかげでここまで来れた。これから進むのは、君に縛られない、俺の道だ。ありがとう。そして、さようなら。
「桜梨の背中を…、俺は突いたんだ。」
その瞬間、確信を持って打ち込んだ攻撃が、桜梨の背中に直撃した。彼女が倒れるのを見て、何かまだ俺の心には崩れるものがあった気がした。
でもそれは、新たな始まりを意味する。
「…さぁ菅田、俺たちの大躍進を見せてやろう。」
これからが本当の戦いだ。俺は、この先、どんな壁にもぶつかりながら、どんな困難にも負けずに進む。今日以上に。それが、今の俺の決意だ。
──────
「西──────」
俺の言葉が届かなかったのがわかった。その瞬間、こんなにも胸が痛む。あんなにも苦しんで、ようやく前に進み出した西が、今、また壁にぶつかりそうだ。
矢矧が放った氷塊は、西の進行方向に無数に放たれている。それらが、着実に西を狙っている。俺の目の前で、あいつがまた一歩踏み出すその瞬間を見て、冷静に計算する。
「そういえばそうだ。」
俺も、そして西も、昔から最終盤で思わぬ背後からの一撃を食らう。あの頃から、何度もそのパターンに苦しめられてきた。そのことを思い出すと、邪念が入る。だが、今は昔を懐かしんでいる場合ではない。今は勝つ時だ。
「だから、俺が出来るのは……、ダウデストだろう。」
決めた。俺が持っている力、あの力を使って、多賀を助ける。全力で、すべてをかけて、あいつを守る。それが今、俺にできる唯一のことだ。
冷静に、力を集中させる。自分の内なるエネルギーを信じ、あの瞬間に備える。時間は限られている。でも、必ず間に合うはずだ。
──────
「ふふ…。」
菅田君が、また何かをしようとしているのを感じる。彼の反応は速いし、予測していた通りだ。あんな力を使うつもりなら、私にもそれに応じる準備が必要。だが、菅田君の力を侮っていたわけではない。彼の能力がどんなに強くても、私がこの戦いを制するのは揺るがない。
「ダウデスト」
菅田君のその言葉を聞いて、少しだけ冷や汗が背中を流れる。また新しい攻撃が来る――それは確かに厄介だ。彼がそれを使うなら、私はもっと早く仕掛けなければならない。西君が攻撃を避けることを計算に入れた上で、すべてをこの瞬間に賭ける。
「でも、私にはまだ手がある。」
菅田君がどんなに力を尽くしても、私には矢矧としての計算がある。あの氷塊を駆使して、西を封じ込めるつもりでいたが、それでも何かが足りない。心の中で、あの二人の存在を再確認しながら、戦いを進める。
「このままでは終わらせない。」
私が手を抜くわけにはいかない。菅田君の反撃は予想していたが、彼の力もまだ見切れていない。だが、それでも私は勝つ。絶対に、勝たなければならない。




