哀れな二人
「――くっ、くそっ。」
西の様子がやはりおかしい。あんなに迷っているのに、何故だ。俺は冷静に状況を見ていたはずだった。だが、桜梨の動きが予想以上に速く、そして巧妙に西を翻弄している。
「何故、あいつはあんなにも苦しんでいる……」
俺が見ていたのは、少し前、短い時間だったがあんなに自信に満ちていた西だった。あいつは明らかに、心の中で戦っている。何かの迷い、今更、人と戦うことが、今の足枷になっているんだろうか。だが、この戦いの中であいつがどんなになろうと、俺は負けるわけにはいかない。
「いや、負けてる場合じゃない。」
矢矧の攻撃がさらに強くなる。俺はその流れを感じ取る。あいつの精神攻撃は一筋縄ではいかない。心に入り込んで、一々うざったい技だ。だが、それに屈するわけにはいかない。
「俺の力は、まだまだこんなもんじゃない。」
西が迷っているなら、俺がその分を一人で進むべきだ。あいつのために、そして自分のために、進むしかない。俺たちがこうして共闘しているのは、ただの偶然じゃないんだ。俺たちは、あれからお互いを助け合ってきたはずだ。
「西、俺はまだ戦う。まだお前も諦めてはないんだろ?」
強い意志を込めて、黒魔術をさらに強化し、俺は矢矧に向かって突進した。西が迷いを捨てられないなら、俺がその迷いを払う役目を果たす。それが俺の役目だ。
──────
「菅田君、少しは焦っているようね。」
彼の反応を見て、私は冷静に分析をしていた。彼が何かに気づき、力を引き出そうとしているのは分かる。黒魔術を使っている時のその決意が、少しだけ不安定さを帯びている。それでも、彼が強いことに変わりはない。
「でも、それで私を倒せるわけがない。」
私は微笑む。菅田君が攻撃を仕掛けてくることは予測していた。その予測に対して、私は冷静に対処している。精神攻撃は容赦なく強化し、彼の意識に少しずつ圧力をかけていく。
「西君も、やっと決心したようね。」
あの西君の様子を見て、何かが変わったことに気づく。迷いが消えつつある。それは、少しだけ私にとっても驚きだった。
「でも、これでおしまい。」
西君の未練や菅田君の反応を見てきて、私は心の中で少しだけ笑った。こうして最終的には、自分のやり方で戦いを終わらせる。その自信だけは揺るがない。
「さあ、次はあなたたちの番よ。」
矢矧の心は一切揺らがない。




