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二振り目、イカサマ魔法を試す

コインとサイコロを使って選択肢を決めてるので、話しの筋書きなんてなーんにも考えてません。ほぼ即興。

ですので、気楽に読めるように一話を短めにしています。


あと、この物語はメインで進めてる小説の気分転換で書いてますので、内容は無いです。あと更新は遅め。




 光の穴に落ちた直後、私の視界は木々で埋め尽くされた森に変わった。


 グキッ。


「いっ!?」


 二メートルほどの高さから落下した結果、慣れないハイヒールで不意の着地により見事に右足首を挫いた。

 何とか声を出さずに堪えたが、結構痛い。


 神様め、転移させるならもうちょっと優しくしろよ。


 内心で愚痴りつつ足首をさすって辺りを見渡せば、神様は変な部分で親切を働かせているせいか少し開けた空間だった。

 このまま痛みがある程度治まるまで待機していると、頭のウサ耳ヘアバンドが周辺の生物を探知して脳に直接情報を伝えた。


 一匹、ウルフというまんまの名前を持つ狼だ。


 そいつは私のところへ真っ直ぐ向かっており、木々の間から姿を見せた。

 灰色の毛を持つ、普通の狼だ。


 不味い、まだ足が……来たっ!

 何か武器は……!


 手の届く位置に程よい長さと太さ、そして真っ直ぐ伸びた木の棒を発見した。子供の頃に振るっていた思い出を想起しながら、飛び掛かるウルフに合わせて左脚だけで横に避け、右脚の痛みに耐えながら頭部に振るった。


 ドゴッという感触と鈍い音が聞こえ、木の棒は折れた。

 ウルフはたった一撃で気絶したのか地面を転がって動かなくなった。


「やったか!?」


 思わずフラグになりそうなことを口にし、私は右足を庇いながらウルフに近づいて折れた木の棒でツンツンとウルフを突いた。


「……死んだか?」


 ジッと観察するが、呼吸をしている様子は見えない。


 やった……のか?

 うーん……あっ、そういえばファンタジー系の小説とか漫画で、アイテムボックスは生きた生物は入れられないとか良く設定されていたな。


 問題はどうやって仕舞うかだ。バニーコートの胸の谷間がアイテムボックスとなっているが、どういう風に仕舞うのか分からない。

 手に持っている折れた木の棒を見る。


 とりあえず、これで試すか。


 自分に刺さりそうな気がしてヒヤヒヤしながら先端を谷間に近づけると、肌の上から亜空間が開き、縮小されながら吸い込まれた。


「こんな感じか……何かいやらしいな」


 そう思いつつ、お尻を突き出すように体を曲げて胸の谷間をウルフへと向けた。

 バニーガール好きが高じて知識としてあるのだが、本物のバニーコートというのは中身が殆どコルセットだ。しっかりとボーンが入っていてスタイルが良くなるように出来ている。胸の部分もしっかりと形が作られていて、強引に剝がさない限りは胸がポロリをすることも無い。

 その為、腰を曲げることが難しい。

 私がウルフを拾うとすると、その意識をアイテムボックスが認識して亜空間が開き、ウルフが縮小されながら収納された。


 これは便利だ。

 が、毎度色っぽい体勢にならないといけないのか?


 実験として近くの落ちていた木の棒を対象にし、まずは普通に念じて見た。

 だが、亜空間は開かなかった。

 今度は谷間を向けて念じた。

 すると、少し離れた位置でも収納された。


「……これ、絶対神様ふざけて作っただろ」


 溜息を吐きつつ、アイテムボックスの仕様を理解した私は適当にうろつくことにした。足の捻挫は既に回復を始めており、歩いているうちに痛みは完全に無くなった。


 どこを見ても木、木、木……。


 何処に向かえばいいのかさえ分からずにいると、ウサ耳ヘアバンドに反応があった。ウルフの群れだ。


 数は十……イカサマ魔法、試してみるか。


 時間的余裕があることから私は奇術師をイメージし、シルクハットとアルファベットの“J”の形をしたステッキを取り出した。

 シルクハットはイメージ通り、ウサ耳ヘアバンドを貫通して被ることができ、ステッキをライフル銃を持つように構えた。


「じゃあ、実験に付き合ってもらうぞ」


 ステッキにイカサマ魔法を使って魔力を込め、しっかりと狙いを付けてから声を発した。


「バンッ」


 それだけで、無反動で魔力の塊が弾丸として真っ直ぐ飛び、ウルフの頭部を撃ち抜いた。


「バンッバンッバンッ」


 三連発もしっかり命中し、かなり接近して来た残り六体に対し、左手を背中に回し、手の中で黒い布を出して前方に広げるように振るって視界を遮った。

 その瞬間、私は一瞬で移動してウルフの背後に回った。


「いいね。瞬間移動マジック。お次は――」


 次々と思いつく中二病的なネタの中から、相手を如何様にも出来て簡単に倒せる方法が一つ思い浮かんだ。

 ステッキを左腕に引っ掛け、左手の中にウルフをデフォルメした小さな人形を作り出し、右手に断ち切りバサミを出して首をチョキンと切り落とした。

 すると六体のウルフの首が同じように切断されて即死した。


「…………これ呪いだわ」


 やってから気付いたけど、これはちょっと反則だ。

 人が見ている前でやったら絶対にドン引きされる。

 一応、呪いを掛ける過程が無いから手品としては成立する……筈。


 エグイやり方で戦った感じも全くしないので、私はこのイカサマ魔法は余程のことが無い限りは封印することにした。

 とりあえず綺麗に死んだウルフは売れると思って回収し、今一度人がいる村か街を探す手段を考えた。


 色々考えた結果、私はちょっと思い浮かべただけで手の中に出現するコインに目を向けた。


「……表が出たら、運よく近くの村か街の道を直感的に引き当てる。裏なら迷子」


 選択肢を明示すると、ウィンドウが表示された。



 表:村或いは町への道

 裏:迷子になる



「これ、文章として出るんだ」


 特に不自由も無いし確認がとりやすいので気にしないことにし、コイントスした。

 空中から落ちて来るコインを手で掴み、結果を確認した。


 結果は――“絵柄”の表だった。


 コインが一瞬光り、私の脳裏に進むべき方角が示された。


「うん、思ったより使えるな」


 段々とコインの使い方が分かった私は、示された方角に向けて歩いた。




 数分歩き続け、ウサ耳ヘアバンドでゴブリンを三体探知した。


 ゴブリン……?

 どんな見た目だろ?


 興味があって会いに行くと、ゴブリンは地獄の餓鬼のような醜悪な見た目をした緑の小鬼だった。それなりに知能はあるのか、生物の弱点の一つである陰部を隠す為に腰布を巻いており、手には木の槍が握られていた。

 声を出して威嚇しながら襲い掛かって来たので、ウサ耳が貫通しているハットを掴んで中を見せるように向け、イカサマ魔法で砲弾を撃ち出した。ゴブリンの一体が直撃して吹っ飛び、続けて二発三発と撃ってあっさり倒した。


「名付けて、ハット大砲ってね」


 ハットを被り直し、私は砲弾と一緒にゴブリンを回収して再び歩き始めた。


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