愉快な紙一重
変わらぬ日常から逸したくて、
言葉を軽んじていた。
投げ掛けるではなく、
投げつけるようにして自惚れた。
1人になって、失って
それから気づいた。
気づく機会はあったのだろうか。
取りこぼしたものの価値を
見定めたくて考えている。
1人を飲むと思って朝目を覚ました。
花を愛で、蝶に揺蕩い、雨を俯瞰し、月に笑う
そんな生活をって夢見た。
夢見がちと嘲る者がいようと、
一生夢見ていられることの幸せを噛み締めて
甘んじて道化師を演じようって思えた。
それが幸せ、
後ろを見ながらゆっくり歩いているような
危うさを秘めた生活を嗜んだ。
体に刻む。私だけの痕を、
唯一無二の痛みを知った童心の少年は
ゆっくりと微笑んだ。