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屋上の昼休み

屋上から見える景色に学校の生徒達の音が交われば何とも言えない心地よさがある


それに太陽の日差しと購買のサンドイッチでお腹を満たせば、午後の授業は全部お昼寝確定だ。


と、いつもならそうなる人が今日は違った


その人は猛烈に怒っている


それはもうブルース・○○ルスが眉間にしわを寄せているときの如く怒っている


『英語とは一体なんぞや?』


その怒っている人はグラウンドを見下ろしながら肩だけで着た学ランを風にバタバタとなびかせ背を向けて言った。


言ったのは当然いつもオチャラけている佐伯で、言われたのはナイスガイの櫻井とクリボーこと凛の二人


二人はかれこれ十分以上正座させられている


『これいつまでやらされんの?』


佐伯には聞こえないように隣のナイスガイに凛は聞いた


『さぁ?でもそろそろ面倒くさくなってきたな。俺の予想では佐伯もこの先のゴールは見えてないはずだ』


えええええ!


胸中で凛は叫んだ


ヘタをすれば昼休み全部を使って、このグダグダな説教につき合わなければならないではないか!と


そして、凛は櫻井から佐伯に視線を移し衝撃の光景を目にする


風になびいていて気づかなかったが、佐伯の足は




風に関係なく尋常じゃないほど震えていた!




凛は理解した!


佐伯はこの後グダグダになって僕たちに怒られるのを恐れている


正確にはナイスガイを恐れている!と





ーーこの時の佐伯の心境



屋上から見える景色に学校の生徒達の音が交われば何とも言えない心地よさがある


それに太陽の日差しと購買のサンドイッチでお腹を満たせば、午後の授業は全部お昼寝確定だ。


と、いつもならそうなるはずだったのに……


なんでこんなことになっちまったんだ…


さっきのことなんて全然怒ってないのに


ノリで怒ってる振りをしたら面白いかな?とか思っちゃってやったら、歯止めがきかなくなって屋上まで呼び出しちゃったよ……


だれか中村俊輔のサイドからのパスのように俺をこの先にあるゴールに導いてくれーーー


ていうか、クリボーはともかくサクちゃんぜってーイライラしてるよー振り向くの怖ぇーー





そうして結局、佐伯が振り向く事は最後までなく、いつもなら、昼休み終了のチャイムが絶望を知らせるように学校中に鳴り響くように聞こえるのに


屋上の3人には終わりの無い戦いに響く救いの音に聞こえたのだった


チャイムが鳴ったのに、まだ怖がって振り向かない佐伯に対し、スッと立ち上がった櫻井が佐伯の肩に手をかけ語りかけるように喋った


『俺が怒ってるように見えるか?』


なぜかまだ継続して土下座をしている凛に聞こえるかぎりでは怒っている様子ではない


佐伯もそう判断したのだろう


『サクちゃん…』


と涙声で櫻井の方に振り向いた


誰もが感動の瞬間を迎えるのだろうと思ったその数瞬後




佐伯は世界で最も美しい土下座をしていた




いや、もはや低姿勢になりすぎて寝下座になっている


佐伯の土下座前の顔を見た凛はすべてを理解していた




櫻井はメチャクチャ怒っていたのだ…




それもものすごい顔で……



目撃者の凛曰く


振り向いて櫻井の顔を見た佐伯の顔は


ピカソ作のゲルニカに出てくる馬の顔にソックリだったいう……


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