プロローグ
顔を出したばかりの太陽
思い詰め一人佇む少年
遠くを見つめる瞳
そして、海、強い風、飛沫をあげて打ち寄せる波、クセのある潮の匂い
それらすべてに伴って渦を巻いて荒れ狂う
…………髪。
そう髪なのだ。
それはもう荒れ狂っているのだ
そう、湿気にめっぽう弱いクセっ毛と呼ばれるもの
それも少年のクセっ毛は日本人の中でずば抜けるほどのクセっ毛、アフリカ人のくりくり頭と大差はない(それは言い過ぎ)
そして、その髪は目を完全に被っていて少年がどのような顔なのかを分からなくするほど
少年はくりくりになるのが嫌で抵抗しているのだろう…
伸ばして、伸ばして、伸ばして
ストレートパーマという一つの希望、いや光に向かって伸ばしているのだ
しかし、間に合わなかった
あと少しだったのに
結局間に合わなかった
高校デビュー
そうそれは、中学まで埋もれていた男子や女子が起死回生をかけてチャレンジするもの
その晴れ舞台は2日前、結局高校デビューの為に伸ばしていた髪は間に合わず、あだ名はクリボーになった
繰り越しできるリボ払いのコマーシャルを見るたびに辺見○ミリに鋭い視線をおくってしまう
あと2日早く生まれていたらこんな事にはならなかったのに、と親を責めない日はない
そして、一番の悲劇はこの町に越して来た事
前の町には生まれた時からいた為15年は住んでいた
幼稚園、小学校まではいじめられたり悪口を言われたりしていたが
中学校になると皆も慣れてあまり弄ってくるヤツもいなくなったのに
引っ越しする事により人生2度目の苦痛を強いられている
『神様のバッカやろうーーーーー』
この物語はこの少年、人生初の雄叫びをあげたクリボーこと滝田凛の学園物語である