どうしてそうなった(薔薇。モテたい男子高校生の話)
とある高校の放課後。教室。四人の男子が、だらりだらりとだべっている。
「女の子にモテたい!!」
突如、一人の少年が叫んだ。
「また杵築の発作が始まったなぁ」
山田が、のんびりと言った。
「何か、発作の間隔狭くなってきてない?」
木山が、ポッキーを食べながら問う。
「前は、一週間に一度だったのにな」
正木も、ポッキーを手に取ってうなずいた。
「今は三日に一度くらい?」
「お前ら!! ちょっとは俺の話聞こうってなれよ!」
「言うてもなぁ」
木山が、新しいプリッツの箱を開けて言う。
「モテたい!! だけで、発展性ないじゃん」
そのあとを、山田が引き受けた。
「そうそう」
正木が、うんうんと首を縦に振る。
「モテるために何をすればいいかくらい、アドバイスくれよ!!」
杵築が、心の底から叫んだ。
「しただろ。テストでどれか一つ学年一位になれとか」
山田が冷静に言う。
「保健で一位取ったぞ!?」
「……妊娠・避妊・出産についてで百点取ってもなぁ」
木山は、ため息を吐いた。
「なんだかなぁだよなぁ」
「何でだよ!? 将来、めっちゃいい旦那になるってならないか? 何をしたらいいか悪いかもぜんぶチェック済みよ!?」
「生々しいんだよな……」
「あと、体育で力入れるとか……」
正木が言った。
「マラソン、クラスで五位だったけど誰も褒めてくれなかったよ!?」
「そりゃ、女子もマラソンでへとへとだからなぁ」
木山が言って、
「正直、誰が一位だろうが二位だろうが知ったこっちゃねぇってなるよな」
山田も肯定した。
「調理実習とか……」
「俺の班にはも○みち(あだ名)がいたんだよぉぉぉ」
「いっそそいつに料理教えてもらえよ……」
「ハッ! そっか、その手が!」
「え、マジ?」
「じゃ、俺ちょっともこ○ちに弟子入りしてくるわ!!」
「アイツのフットワークの軽さマジ羨ましいわ……」
……後日、杵築に、そのもこみ○(本名:仁木誠一)と付き合うことになったと言われ、彼らは恋愛の深淵を見た。
END.