魔法少女組織からの来客
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「ありがとうございました、皆さんおやすみなさい」
夜の帳はすでに落ち、マンションのエントランスホールから漏れ出す光が道を照らしている。
環さんの運転する車が私のマンションの前に止まり、私はお礼を言って車から降りた。
「また明日ね~」
窓を開けて手を振る智絵里に手を振り返し、発進した車のテールランプが見えなくなるまで見送る。
「さてと」
私は一声、気合いを入れると自分の家に戻ったのだった。
鍵を開けドアを開けると部屋の中は真っ暗だった。
外も部屋の中も同じくらい暑いはずなのに、玄関にある二つのスリッパが妙に寒々しい。
これが私の当たり前。
誰かと一緒に晩ご飯を食べたり朝ご飯を食べたり、昨日は本当に久々の体験だった。
妙な寂しさはあるが、また明日になれば葵ちゃんと一緒にしばらく生活出来る。
そのためには今の内に出来ることをしなければ。
藤宮くんとぶつかった謎の女、白の魔法少女ピュアハート。
そしてピュアハートは魔法少女組織に所属している私たち魔法少女と同じような格好をしていた。
魔法少女名と色が分かれば、その正体も突き止められるはず。
昨日からずっと放置していたが、それは人がずっと周囲にいたからだ。
今夜しかチャンスはない。
私はようやく魔法少女組織の人を呼び出すことにしたのだった。
私は帰ってきたままの服装でリビングに入ると、結界を張り始めた。
この結界は封鎖結界ではない。
封鎖結界は魔物だけを捕らえるが私たち魔法少女は出入り自由だ。
今詠唱しているものは通常の方法では誰も出入り出来ない、本当の意味の『結界』だ。
呪文が完成し、リビングに収まる程度の小さな結界が出現する。
結界を張り終えると私は魔法少女へと変身する。
「マジカルガール イルミネーション メイクマイドリーム!」
呪文を唱えて変身。
続いて私は首にかかっているネックレスから透明な宝石を一つ取り外して床に置くと、転送魔法を唱えた。
宝石がふっと消える。
私のネックレスに付けられている各宝石には様々な情報が込められていて、とっさの連絡手段にも使用できる優れものだ。
今回使用したものは魔法少女組織との連絡用。
追加で情報を加えられるけど、ピュアハートの情報を拡散するのは憚られたので、とりあえず呼び出しただけだ。
しばらくして宝石のあった場所に人影が現れた。




