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私の話

本日18時に更新します。

「変身を解くのはこうでしょ……」


 足を抱えたまま横に転がった白いドレス姿が光に包まれるとTシャツ姿の銀髪毛虫が現れた。

 先ほどで変身解除は会得出来ていたようだ。


「ねえ藤宮くん、まだ話残ってるからこっちに戻ってきて?」


 しばらくじっと微動だにしなかった毛虫が渋々立ち上がり、こちらを向いて美少女が現れた。

 拗ねた顔も可愛いなあ。


 テーブルに戻ってきた藤宮くんは、麦茶の入ったコップを片手で持とうとしたが、手が小さくてしっかり掴めないのか不安定に震え、やがて何もなかったかのように両手でコップを持ち、麦茶を飲んだ。


「私たち魔法少女は、魔法少女組織に通って魔法を覚えるの。ただ私は高校受験を控えていたから通信教育で成績を修めて卒業したわ」


 通信教育で魔法履修、という話に首を傾げる藤宮くん。

 分からないでもない。

 実地を伴わないなんて無謀だと、今の私なら素直に思う。

 その気持ちが言葉につい乗ってしまった。


「……実は魔物と戦うのも、魔法を本当の意味で扱うのも今日が初めてだったの」


 恥を忍んで素直に打ち明けてしまう。あ、ヤバい、顔が熱い。耳が赤くなっているのが分かる。何の話をしてるんだ、私。ここは順序立てて私が知ってる事を話さないと。だけど言葉が止まらない。


「緊張して慌ててて最初の結界を張るのに全魔力を使っちゃって、動けなくなっちゃって、そこにあの気持ち悪いスライムでしょ?もう腰も抜けちゃって……だから藤宮くんが助けに来てくれて本当に助かったし嬉しかったの。ありがとう」


 知らない少女が知ってる男の子だったからといってここまで変化するの、私の心!?話の順番間違えたかな、軽蔑されるかな、でも私だって未熟者だってことは藤宮くんに伝えたかった。感謝を伝えたかった。だから


「僕も何とか竹宮さんを助けられて良かったよ。竹宮さんも気を失っていた僕を助けてくれてありがとう」


 にっこり笑って藤宮くんが告げた言葉に、私もなんとか涙をこらえて笑顔を浮かべた。



「ま、魔法少女名と色が分かれば、もしかしたら魔法少女組織のほうで何か調べられるかも」


 私の突然の話の脱線でお互い照れてしまうという落ち着かない空気となったリビングの雰囲気を変えるべく、私は話を続けた。


「さっき藤宮くんが名乗った名前が、おそらくその怪しい女なんじゃないかな」


 藤宮くんがうんうんと頷く。

 今のところ藤宮くん女の子化の最重要人物だ。


「女の子化ってそういう魔法はないの?」


「変身はあくまで上辺だけを変える感じで、それこそ熊や鳥になれるわけじゃないし、性別変更魔法とか私は聞いたことはないわね」


 腕だけを太くしたりバストだけ大きくしたりといった、肉体に物理的影響を与える魔法は一般に知られてはいない。

 私が知らないだけで本当はあるのかもしれないけど、今は黙っていたほうがいいだろう。


「えと、話を続けるね。魔法少女組織は」


 さっきの間違いを冒さないよう、気持ち区切る。


「魔物から地域を守るために魔法少女を配属している。私は今月魔法少女になったばかり。以前この地域を守っていた魔法少女と合ったのは交代の儀式の一度きり。今はどこでどうしてるか知らない」


「魔物は、私たちの世界を襲う異世界の生物。結界から逃げられたら最後、人々に大きな被害が出る。私たち魔法少女の使命は、誰にも知られずに魔物を倒し、魔物を送り込む存在を倒し、この世界を平和にすること」


 私の話がようやく終わる。

 藤宮くんは真剣な顔で私の話を聞いていた。


 真剣な顔の美少女もまたいい。

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