カオスナイトの猛攻
いつもの白い部屋に転移すると、既に全員揃っていた。
「ついに親玉がお出ましになった。まだ雑魚しか相手にしたことないけど、ぶっつけ本番で戦ってもらう」
カムラスが真剣な眼差しで皆にそう言った。
「親玉って、カオスクイーンのことでしょ?いきなりラスボス戦ってこと!?まじ有り得ない」
平野美樹がカムラスに愚痴った。
「いや、正確に言えばカオスクイーンの一部だね。カオスクイーンは本体1体と4体の分裂したカオスクイーンの一部であるカオスナイトがいるんだ。カオスナイトはカオスクイーンに張られているシールドを発動させてカオスクイーンを守る役割があるんだ。カオスクイーンを倒すにはまずその4体のカオスナイトを倒す必要があるんだ。今回はその内の1体と戦ってもらう」
「どのくらい強いんですか?」
勇人が質問した。
「前に戦った雑魚とは月とスッポンぐらいの差がある。もしかしたら死人が出るかもしれないぐらい強い。だけど、君たちが力を合わせて戦えばきっと倒すことができるだろうね」
「力を、合わせる......」
僕はぼそっと呟いた。正直言って客観的に見て今のチームワークじゃ勝てる気がしない。
「なるほど、チームワークか。よし、皆んな!円陣組むよ!」
突然勇人が言い出した。皆んなは円になって円陣を組んだ。
「必ず全員生きて帰ろう。この戦いが終わったら、本当の自己紹介をしよう。僕はもっと皆んなのことが知りたいんだ。それじゃ、行くよ!」
円陣を組み終わると僕らは部屋から出た。トンネルワールドだ。でも前に見たときとは少し違う。何というか、雰囲気が違う。
「おい、皆んな上!」
上を見ると、巨大な龍が宙に浮いていた。
あれが、カオスナイト......。まず大きさが段違いにでかい。とにかく黒く、所々に赤い光を放っている。首元と思われるところは特に赤く光り輝いていた。どうやら弱点は雑魚のときと同じの様だ。
すると、カムラスが汗を流しながら、
「大きい......大きすぎる......まさか」
と呟いていた。
カオスナイトは6人に気づいたのか、こちらを見つめて、
......何が起きた。例の部屋越しに見ていた僕の目の前が一瞬真っ黒に染まった。そして、目の前には......
僕は部屋の外に出た。
「おい、渡君!」
カムラスが止めようとしたが、聞かなかった。目の前に映っているのは4人が倒れていて電子粒子を放ちながら消えていく光景と、再生中の勇人と、運良く攻撃を受けなかった、ただ立ち尽くしている春香の姿だった。
カオスナイトが再びこちらを見つめている。次はもう無い。カオスナイトがものすごいスピードでこちらに向かってくる。僕はこの時何を思ったのか、ゲノムディスクを差し込みグルーヴァー状態になり、カオスナイトに向かって拳を当てようとした。
そしてその瞬間、目の前が真っ暗になり、僕の意識は事切れた。