初変身!
獣のような目線でこちらを見つめているバグノイザーと遂に初戦闘する時がきた。
僕らはカムラスに言われた通りに変身する為の動作を行った。まず、ゲノムプレーヤーを右腰に装着。ゲノムプレーヤーは見た目小型CDプレーヤーそっくりで、そこにゲノムディスク、正確にはエンプティディスクをゲノムプレーヤーにある差込口に差し込む。
カムラス曰く、最初はエンプティディスクで、変身するとその人専用のゲノムディスクが出来上がるとのこと。
そして再生ボタンと思わしきボタンを押して僕らは1人ずつ変身をした。
まず最初に変身したのは浅井勇人。近未来の戦闘スーツの様な見た目で全体的に黒を強調としていて、全身には青いラインが入っている。頭は黒いヘルメットに青い丸い目が2つついた、全体的にシンプルな変身姿だ。
すると、ゲノムプレーヤー越しから、透明だったディスクに色と模様とエンブレムが刻まれていた。色は黒く青いラインの入った模様に不死鳥のエンブレムが描かれている。
「君の能力は不死身だね。身体能力も格段に上がっているはずだよ」
「確かに......全身から力がみなぎってくる感覚がある。すごい、これはすごいぞ!」
次に変身したのは天宮透。爬虫類を連想させる緑色の体に赤い瞳、背中にあるギザギザした帆、鋭い鉤爪。ディスクは緑色に赤い模様が刻まれていて、トカゲのエンブレムが描かれている。
「君の能力はステルスだね。鋭い鉤爪とステルスに素早い移動速度は驚異的だね」
「ふーん、なんか仮面ライダーアマゾンを連想させる見た目だねー」
次は吉田宏樹。全身黄色で全身に甲殻があり、見た目もごつい。ディスクは黄色く、そこに黒いゴリラのエンブレムが描かれている。
「君は見た目通り高い防御力が特徴だね。その拳で殴られたらひとたまりもないね」
「よっしゃ!どっからでもかかってこい!捻り潰してやるぜ!」
次は平野美樹。赤が特徴的で顔は黒い仮面で覆われている。仮面にはバツマークが描かれている。全体的に身軽そうで武器はリボルバーの二丁拳銃。拳銃は蛇をモチーフにしているようだ。ディスクは赤く蛇のエンブレムが描かれている。
「君は毒の銃弾を放つ拳銃のスペシャリストだね。反射神経も向上しているはずだよ」
「FPSゲームとは違った感覚が味わえそう。撃つのが楽しみ」
次は荒川雫。水色と白を特徴とした見た目で額には角があり、武器は鋭い青い剣を所持している。ディスクは水色で白い虎のエンブレムが描かれている。
「君は前線で戦う攻撃専門のグルーヴァーだね。その刃で敵を切り刻んでやってよ」
「あんたら、戦う準備はできてるかい?あたいはいつでもOKだよー!」
次は高橋春香。オレンジ色を特徴とした見た目に関節部分が赤く、大型のナイフで戦う。ディスクはオレンジ色に赤い線が描かれていて、人が3人ほど重なったエンブレムが描かれている。
「おや、君、僕とほとんど同じ見た目だね!能力も分身で被ってるねー」
「......頑張る」
最後は僕、柳渡。鼓動が速く動き、体全身が熱くなってくる。果たしてどんな能力なのか。僕は皆んなの役に立てる能力なのか。そう考え、一呼吸してからボタンを押した。
「......あれ、何も起きない」
何度押しても何も見た目も変わらない。ディスクもエンプティディスクのまま透明でエンブレムはよく見ると若干白く地球のマークが描かれていた。
「どういうことだ?本来なら見た目が変化するはずなのに君は見た目が変わらない、イレギュラーだね。僕も初めて見るよ。ただ、見る限り身体能力や反射神経も何も変身前と変わってないね」
「じゃあ、僕はどうなるんですか?」
「残念だけど、戦いには参加できないね。でもディスクに変化はあったから何かしら能力を持ってるはずなんだ。それが分かるまでは君は拠点に残ってもらうよ」
なんでだよ、なんでこうなるんだよ!別に正義のヒーローになりたいわけじゃない、ただ皆んなの役に立ちたかっただけなのに。この透明のディスクはまるで今の自分を表しているようだ。なんの個性も無い、いてもいなくても変わらない空っぽな性格であることを改めて自覚させられた。
無事変身できた6人はこれからバグノイザーとの初戦闘に挑むことになるのだった。