グルーヴァーとバグノイザー
今日からゴールデンウィークが始まった。とんでもない爆音のノイズの音と共に。
ここ最近症状が急激に悪化し始めていて、今は立っているのがやっとだった。両親も僕の異常に気づいて病院に行くことになった。でも検査しても特に悪いところもなく、原因は不明のまま終わった。
僕は家に帰って自分の部屋で一息つこうとした、その時だった。
「見つけたよ、柳渡君」
中性的な声が聞こえてきたのでふと後ろを振り向くとそこにはド派手な髪の色をした、紫色の目の色をした青年が立っていた。この人は誰なのか、いったいどうやって僕の部屋に入ってきたのか、何故僕の名前を知っているのか、疑問がどんどん頭から湧き出てきているときに、謎の青年は僕の肩をとんと叩いた。
「ここで話すのはあれだから、ちょっと移動するよ」
その瞬間、一瞬目の前が眩しく光り、体が雲のように軽くなったような感覚に襲われた。
目の前の光が消えると、僕は謎の白い正方形の部屋にいて、僕以外にさっきの青年と初対面の6人の男女が立っていた。
「多分これで全員だね。驚かせちゃってごめんね」
謎の青年は笑みを浮かべながらそう言った。
「多分みんなこう思っているよね。僕は誰なんだと。僕の名前はカムラス。この部屋は僕が作った部屋でこの部屋ではノイズは聞こえない」
確かにあれだけうるさかったノイズがこの部屋に来てから一切聞こえなくなった。
カムラスは先程までの笑みから一転して真剣な顔になって話を続けた。
「単刀直入に言わせて欲しい。君たちの世界はもうすぐバグノイザーという敵によって喰い尽くされる。だから君達特異点にはグルーヴァーになってバグノイザーの親玉であるカオスクイーンをやっつけて欲しいんだ」
「あの、この状況だとふざけて言ってる訳じゃなさそうね。特異点って私達のこと?」
金髪の少女がカムラスに質問した。
「君は平野美樹だね、飲み込みが速くて助かるよ。そうだよ、特異点っていうのは現実世界にいたときにあの耳障りなノイズが聞こえていた人のことを言ってね、そしてグルーヴァーに変身することができる唯一の存在なんだ」
「そのさっきから言ってるバグノイザとグルーヴァーって何だい?もう少し詳しく教えてくれねえかい?」
今度はあぐらをかいている男勝りの様な少女が質問した。
「君は荒川雫だね。まずバグノイザーっていうのは様々な世界を旅してはその世界を喰い尽くす、破壊することが本能の君たちの敵となる存在。そしてグルーヴァーっていうのはバグノイザーを倒すことができる唯一の存在でね」
そう言いながらカムラスが手から謎の機械と透明な少し分厚いディスクを出現させた。
「これはゲノムプレーヤーとゲノムディスクと言ってグルーヴァーに変身するための道具で、君たちはこれでグルーヴァーになってもらう。それで、練習として雑魚のバグノイザーをやっつけてもらう。後から7人分配るからね」
「この問題はあなただけでは解決できる問題じゃないんですか?」
1人の少年がカムラスに質問した。
「君は浅井勇人だね。そうだね、僕1人だけじゃ、ましてやもうグルーヴァーに変身できない僕には無理な話だね。この、ゲノムディスクがバグノイザーとの戦闘中に壊されちゃってね。このディスクは1人1枚しか所有できなくて、壊れちゃうともう戦えないんだ。だから君達も大切に扱ってね。もちろん、このディスクを読み込ませるゲノムプレーヤーもね」
そしてカムラスは全員分のゲノムプレーヤーとゲノムディスクを手渡した。
「それじゃあ行こうか、かつての僕の世界にね」
こうして僕らはカムラスのいた世界に行くことになった。そして、バグノイザーの恐ろしさをこれから知ることになる。