二十話 ユートとイルミナ
そこは青白い光が灯るだけの無の空間だった。
等間隔に置かれた灯火を目印に道が続いている。
ユートはその道を一歩一歩静かに歩く。
コツンコツンと小気味よい音が辺りに反響していく。
「ここか……」
ユートは足を止め、微かに見える人影を見据える。
辺りに漂う魔力や放たれる殺気から只者ではない事が容易に想像がつく。
「こうして姿を見るのは初めてだよね?イルミナ」
ユートの目の前には青色の髪を伸ばした銀目の女性、イルミナが立っていた。
イルミナはいつもの様に無機質な表情でユートを見ている。が、放たれる殺気からイルミナが怒りを露わにしていることは明確だった。
ユートは更にイルミナの方へ近づいていく。
しかし、突如地面から生成槍の様なものに阻まれる。
「……何の用だ……」
凍てつく様な底冷えする声が無の空間に響く。イルミナが発した声だ。
ユートにはこの槍から一歩踏み出せば容赦はしない、そう聞こえるような内容だった。
「話をしない?イルミナ」
「お前と話す事などない」
「僕にはある……僕は君と仲良くなりたいんだ。それが姉さんの望みでもあり僕の望みでもあるから」
「っ⁉︎お前がセレナを語るな!」
「くっ……⁉︎」
イルミナの怒号と共に、風が嵐の様に吹き荒れた。
ユートはその暴風に耐えきる様に足腰に力を入れ前かがみになり、腕で顔をかばう様にした。
しばらくして風が止む。
イルミナを見れば若干息が上がっている様に見える。
「……許してほしいとは言わない……言えないんだ。姉さんを殺めたのは僕だから……」
「そうだ……お前が殺した!」
「だけど……これだけは分かって欲しい!僕は決して姉さんを殺したくて殺したわけじゃないって事を!」
「世迷言を!」
イルミナは大鎌を取り出しユートへ急接近して、喉元に鎌を突きつける。
「どんな理由があれお前が殺した事は変わりないだろ?」
「……」
「あの時……何故かセレナは私を使わなかった……だがらセレナが死んだ時を見ていない……もしあの時私がセレナに力を貸していれば」
「なら……僕の記憶を見ればいい」
「何?」
「その時の記憶をイルミナの力で覗くんだ。そうすれば姉さんの真意が見れるよ」
「……どういうつもりだ?記憶を覗かれるんだぞ?それがどういうことか……」
「分かっているよ」
イルミナの言葉を遮る様にユートが言う。
記憶を覗かれればその時の記憶がもう一度フラッシュバックされる。
ユートにとっても負の記憶となったそれを再び鮮明に見なければならないのだ。
「それでも……僕は僕と……姉さんが望んだ結末にしたいんだ」
「……」
ユートは真っ直ぐとイルミナの目を見つめる。
イルミナはユートの黒い瞳に吸い込まれる様な感覚を覚えた。
たかが十五年生きただけの少年に自分が気圧されているのは有り得ない。そう感じたイルミナは無言でユートに突きつけた鎌を消し、二、三歩ユートから離れる。
「では行くぞ……」
「うん」
イルミナの魔法が発動し、イルミナの世界が再形成されて行く。
完全に世界が作り変えられたのを確認したユートはそのまま意識を暗転させた。
諸事情により暫く投稿出来なくなります。すいません……
暇を見つけ次第投稿して行く予定です。お願いします




