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双神の御子  作者: 南瓜遥樹
第二章 禁忌の銀姫編
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十五話 エリエルvsイルミナ ②

 先に動いたのはイルミナだった。

 イルミナは足に力を込めて一気に跳躍すると、そのまま手に持つ大鎌をエリエル目掛けて振り投げる。

 大鎌は手裏剣の様に旋回しながら突き進んで行き、その早さからヒューッと風を切る音が出る。


「はぁっ!」


 エリエルは片手を前に掲げる形で突き出す。

 するとエリエルの目の前にハニカム状の薄い膜が形成された。


 大鎌がその膜に当たった瞬間、キィィィィンとけたましい音が鳴り響く。


 大鎌はハニカム状の膜に当たりながら旋回を繰り返すが貫通することはない。


「チッ……」


 イルミナは小さく舌打ちをし、右手の人差し指を突き立て、クイっと搔き上げる。

 すると大鎌は何かに引っ張られるようにイルミナの元に戻って来て、そのままイルミナの手に収まった。


「……破壊神の力は伊達では無いか……」


「一様こっちも"最強"を名乗ってるからねぇ〜……負けられないかなっ!」


 エリエルはそう言って腕を横薙ぎにする。

 すると、イルミナの居る付近がエリエルの腕を追うようにして順に爆発していく。


「⁉︎」


 思わぬ攻撃に僅かばかりの動揺を見せたがすぐにその場から退こうとする。

 しかし……


「何っ⁉︎」


「させないよっ!」


 そうは問屋が卸さない。


 イルミナが退くことを見計らっていたエリエルが先程自分を守っていた膜をイルミナの四方に展開した。

 そして、逃げ場を失ったイルミナはなすすべなく爆発に呑まれる。


 ドコォォンという轟音が辺りに鳴り響く。

 爆発の熱気はエリエルの元までやって来た。

 チリチリと肌を焼くような熱気から、常人なら耐えられるはずのない一発である。


「……これで終わってくれれば楽だったんだけどね……」


 エリエルは額から汗を滲ませていた。

 それは爆発の熱気からか、はたまた冷や汗なのか定かではないがどちらにせよこの戦いがまだ終わっていないことを物語っていた。


 煙が晴れると所々土埃により汚れているイルミナが姿をあらわす。

 見たところ外傷は全くと言っていいほど見当たらなかった。


「……エリエルと言ったか?あの程度では私は倒せないぞ」


「……全く……神ってのはつくづく厄介なのばかりだね……」


「悪いが遊戯はここまでだ……時間がないのでな」


「そうは言っても貴方じゃ私は倒せないと思うけど?」


「ふん、今に分かるさ」


 エリエルの言葉を鼻で笑うイルミナは持っていた鎌を手から離し、消し去る。

 そして空中で両手を合わし、合掌した形をとる。

 エリエルは最大限の注意を働きかけながら、怪訝そうにイルミナの行動を見つめていた。


「この地は今から私の世界だ……⦅創世(ワールドクリエイト)⦆」


 次の瞬間、景色が歪んだ。

 空の色は灰色になり森に吹いていた爽やかな風は今は無風となっている。

 見た目の変化はこのくらいだろうか。

 しかし、明らかに今までとは違っていた。


「なに、これ……?」


 その証拠にエリエルは今までの余裕そうな笑みは消え、困惑の表情を浮かべていた。


「……やはり出力は落ちるか……⦅創世(ワールドクリエイト)⦆の範囲はせいぜいこの森分が限度だが……まぁ十分だ」


「何をしたの?」


「なに、ちょっとばかしこの範囲の世界を私好みに創り変えただけだ」


「創り、変えた……?」


「あぁ、私は創世神だ。その程度造作もない」


 イルミナが嘘をついているようには見えなかったエリエルは、苦虫を噛み潰したような表情でイルミナを見る。


 もし、イルミナが言う通り世界を創り変える能力を持つのならば……


(勝ち目……ないよねぇ……)


 エリエルは自分が追い込まれた事に焦りを感じながら勝利への糸口を探し始めた。


 〜〜〜


「世界が変わった……?」


 その頃、レイラとミロクの護衛を頼まれていたミーナは森に変化が起きた事に気がついていた。


「戦いが始まって十分が経つ……あと二十分で勝負がつけられなければ……」


 ミーナは自然と手を握る力が強くなる。

 それは焦りの表れからだった。


「ん…………あれ……?ここは?」


 その時、今まで眠っていたミロクが眼を覚ます。

 ミロクはまだ記憶が曖昧なのか、頭を抑えて周囲を見渡していた。


「ミロク……⁉︎よかった……⁉︎」


「わっ⁉︎レイラ?」


 レイラはミロクが起きた事を嬉しく思い、思わず飛びつく。

 かなり勢いがあったのか、ミロクは猛進して来たレイラに驚きながらもその小柄な体躯をしっかりと懐で受け止めた。


「ん……しばらく目を覚まさないから……心配、した」


 レイラはそう言ってミロクの胸に顔を埋める。

 よく見ると瞳からは涙が溢れていた。


「レイラ……ごめんね……でも、もう大丈夫だよ……」


 ミロクはレイラの頭に手を置いてそう言いながら優しく撫でる。

 しばらくするとレイラも落ち着いたのか、ミロクの身体から離れてミロクの横にちょこんと座った。


「それより……ユートは?それにあのゼルっていう男も……」


 先程からユートの姿が見えないミロクは気になってレイラに聞いて見る。

 レイラはその事についてミロクに話そうとするが後方からの声でそれは遮られる。


「それは私から説明するわ」


「貴女は……?」


「私はミーナ。エリエルから話を聞いているわ。よろしく、ミロクさん」


「ミーナって……まさかあのミーナさん⁉︎それにエリエルさんの名前も出て来たけど……」


「えぇ……実は貴女が眠っている間にね……」


 ミーナは手短に今起きている事を説明する。


「そんな事が……じゃあユートは今、魔神に……」


 ミロクはミーナの言葉を受けショックを受けていた。

 しかし、すぐに何か吹っ切れたのか顔を上げミーナの方を向く。


「あの……私をそこまで連れて言ってもらっていいですか?」

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