十四話 エリエルvsイルミナ ①
昨日投稿できなくて申し訳ないです
エリエルとミーナが⦅転移門⦆を抜けた先は森の中だった。
「魔神がいる座標の近くで間違いなさそうね……凄い濃密な殺気だわ……」
「うん……⁉︎生体反応……?こんなとこに一体誰が?」
ミーナは先程から肌で感じるようなピリピリとした殺気に僅かながら背筋を凍らせている。
対するエリエルは浮かない表情であたりを見回しているが自分達以外にもこの近くに人がいる事がわかり、その方角へ進んだ。
その先にいたのはエリエルも顔を知っている獣人の少女と人族の銀髪の少女だった。
「ミロクちゃん⁉︎それに貴女は……?」
「⁉︎……誰?ミロクを知ってるの……?」
銀髪の少女はエリエルとミーナの存在を確認すると警戒するようにしてそう尋ねる。
「うん、ちょっと前に知り合って……それよりもミロクちゃんがいるって事はユートも……」
エリエルがユートの名を出した瞬間、銀髪の少女が血相を変えて切迫した表情でエリエルに詰め寄る。
「⁉︎……ユートを知ってるの?」
「え……う、うん」
「お願い……ユートを……助けて……」
少女は目尻に涙を浮かべ懇願する。
エリエルはその様子からこの少女がユートの状況を知っている事を推測した。
「貴女の名前は?」
「……レイラ……」
「レイラちゃんね。早速だけどユートに何が起きたか説明してもらえる?」
せエリエルが優しく尋ねるとレイラはコクンと頷き今までの経緯を説明する。
「……つまり……ユートは突然黒いモヤに呑み込まれた後、ガラッと豹変したって事?」
「……ん……ユート……まるで、別人になったみたいに変わった……そう……視えた……」
「視えた……?あ……レイラちゃんは魔眼持ちなのね」
「ん……よく分からないけど……多分、そう……」
「ありがとう……レイラちゃん。後はお姉ちゃん達に任せてね!すぐにユートを助けてあげるよ」
「ほんと……?」
「本当だとも!ミーナ、ここはお願い出来る?二人を保護してて」
「わかったわ……エリエル。時間が来たら……分かってるわね……?」
「うん……分かってるよ……それじゃ……」
エリエルは最後にそう言い残して地面をかけて行った。
〜〜〜
「見つけた……!」
エリエルは森を最速で駆け抜け、ようやくユートがいるであろう場所に辿り着いた。
しかし、エリエルはあまりにも変わり果てたユートの姿に絶句する。
「これが……ユート……?」
エリエルが驚くのも無理はない。
ユートの姿はいつもの黒髪黒瞳などでは無く、青髪銀眼。
ただでさえ整った顔立ちをしていたユートが今ではその綺麗な髪が鎖骨あたりまで伸びており、まるで女の子のようだった。
だが見た目とは裏腹にユートから放たれる殺気と魔力は途轍も無く、まさにエリエルが今までに会ったことのある魔神そのものだった。
「……何の用だ?魔人の女」
ユートがエリエルの存在に気付き、抑揚の無い口調でそう尋ねる。
「⁉︎……ユートはしばらく会っていない人の事も忘れちゃうのかなぁ?流石の私も傷ついちゃうよ?」
エリエルは見た目のみならず口調も変化している事に驚くが何より自分の事を忘れられた事にショックを受けた。
しかし、直ぐに立て直し、いつもの様に軽い口調でユートに話しかける。
「……成る程……奴の記憶と一致したがどうやら貴様が奴に取ってセレナの代わりなのだな……」
「奴の記憶?セレナ?貴女はユートじゃ無いの?」
「然り。私はイルミナ。ユートでは無い。尤も器は奴のものであるが今は私の肉体だ」
「何故貴女はユートの肉体を取り込んでいるの?」
「……これは私が望んだことでは無い。だがそれも今日で終わりだ。ようやく見つけた。あれは確かに私の知るセレナの魔力……話は終わりだ。急いでいる、そこを退け」
「よく分からないけど一つ言えることはその肉体は貴女のものでは無い。早くユートに返して」
「断る。こんな機会はそうそう無い。奴の存在を消して私は完全に受肉する」
「そう……なら私は貴女を全力で打たなければならないねっ!」
刹那、エリエルの魔力が膨張していく。
その魔力量は止まることを知らず、簡単にユートの魔力量と同じところまで膨れ上がった。
「……下界にもこんな奴がいるのか……危険だな」
イルミナはそう言うと何処からと無く出てきた大鎌を掴み、構える。
その姿は宛ら死神とよべるようなものだった。
「ふっ!」
イルミナは鎌を構えてエリエルに突貫して行く。
常人では目で追うことのできない速度で迫り来るイルミナはあっという間にエリエルの目と鼻の先まで辿り着く。
しかし、エリエルはその場から全く動こうとしない。
それはイルミナの攻撃に反応できなかったわけではない。
反応する必要が無かったのだ。
「逝け」
一言、イルミナがそう言って鎌をエリエルの首元に振り下ろす。
だが、それでエリエルの首が飛ばされることはなかった。
「何……?」
イルミナは先程まで無機質な表情であったのに一瞬眉をひそめる。
エリエルの首が飛ばなかっただけでなく、エリエルに触れたであろう大鎌の先っぽから十センチほど跡形もなく消し去っていたのだった。
「……本当にユートじゃ無いみたいだね……私の能力を知らないなんてさ」
エリエルは、はぁと一つ溜め息を吐くとそう呟く。
「……その力は破壊神の……?それも贋物では無く起源のか」
「へぇ……この能力の事は知ってるんだ」
「奴の記憶とも合致する……貴様こそエリエル・バースフォルフで間違い無い様だな」
エリエルとイルミナは一言二言交えて再度睨み合う。
既にエリエルによって破壊されたイルミナの大鎌は何事もなかったかの様に元どおりに治っていた。
「じゃあ……私もそろそろ本気で行くよ……」
エリエルはそう言って魔力を高めていった。




