十一話 ユートvsゼル 後編
『はぁ……はぁ……ふぅ……やっぱイルナギには勝てないや』
『まだまだだねぇ〜ユートは……もう少し戦い方に工夫しないとさ』
『工夫……?』
イルナギはいつの日かユートにそんなアドバイスをしていた。
『そう、工夫。ユートはさ、戦闘中に自分のことしか見れていないんだよ。だからボクの動きについてこれない』
『……』
『いいかい?ユート……相手をよく見ろ。一秒たりとも相手から目を離すな。よく観察して自分がどう動けばいいのか研究しろ』
『でもそうしている間にやられたら……』
『そんな事は万が一にもありえないさ……ボクがついているからね』
『違いない……』
イルナギの屈託の無い笑顔を見て、ユートもつられて微笑んだ。
〜〜〜
(今回もイルナギには助けられたなぁ……)
ユートは過去に言われた事を思い出し、そんな事を考える。
「くっ……何故だ、何故当たらない……⁉︎」
一方でゼルの方はユートの動きが今までのそれとは全然違うことに驚き、攻撃が当たらなくなったことに焦っていた。
ゼルの固有魔法、⦅浮遊剣⦆は最大四本までの剣を出して浮遊させながらまるで自分の手足のように自在に動かせる魔法である。
ゼルはこの固有魔法を完璧に使いこなしていた。
だが、それでも……
「ちっ……」
「疾っ!」
ユートは次に何処に攻撃が来るのか、完璧に予想し、捌いて行く。
レイラやミロクを狙う刃を弾きつつ、その反動を利用して自分を狙う刃をいなして行く。
「きれい……」
余りにも完璧過ぎる、洗練された動きにレイラはいつしかユートの剣技に見惚れていた。
圧倒的だった。
身体の様々な所に傷を作り血飛沫を上げながらも剣を振る姿はまさしく"鬼"そのもの。
ゼルはユートの姿に戦慄していた。
「……がはっ⁉︎…………見事、だ……」
ゼルはユートの持つ剣で斜め斬りされてそうして呟く。
「……その年でそれだけの手腕、その躊躇い無く人を斬れるところをみれば貴様も俺らと同類か……」
「……」
仰向けに倒れたゼルはユートに向けてそう言い放つ。
ユートはそれに反論することはできなかった。
「ちがうっ!……ユートは……お前たちとは違う……⁉︎」
しかし、レイラは間髪入れずに反論する。
「ふっ……日向で暮らしてるお前らに何が分かる……?此奴は俺らと……」
ゼルは最後まで言い終わらずに絶命した。
「ユートは……あいつらとは……違うもん……」
「……」
レイラは目に涙を浮かべながらそう呟く。
啜り泣きながらそんな事を呟いているレイラにユートは返す言葉が無かった。
「……っぐ……⁉︎」
「ユート……?」
ユートが突如呻き声を上げて片膝をつく。
レイラが心配して近づこうとした瞬間……
「アガァァァァ!!!!」
ユートが獣のような声で絶叫し、禍々しい魔力を放出した。




