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双神の御子  作者: 南瓜遥樹
第二章 禁忌の銀姫編
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三話 二人目の同居人

「預かる……?それってどういうこと?」


 ユートはジータのお願いの意図が分からず首をかしげる。


「預かるって言っても長期間でない。そうだな……三日ほど時間ユートくんのもとにレイラを置いて欲しい。明日から国王としての用事で王宮を離れなくてはいけなくてな」


「それはわかりましたけど、いつものように王宮内で匿うのはいけないんですか?」


「あぁ、私がここに居ないと……」


 ジータは顔を顰め、言い淀む。

 ユートは即座にその反応の理由を理解する。


「なるほど……暗殺……ですか」


 ユートの言葉にジータは静かに頷く。


「暗殺って、どういうこと……?」


 アイラは蒼白した顔でユートに尋ねる。


「つまり、王宮内でレイラの存在を知っているものがいて、そいつがレイラのことを国王がいないタイミングで暗殺するよう画策している可能性がある、ということだよ」


「そんな……」


「そうならない為にもレイラは明日……いや、今日からこの王宮を出た方がいいのだ……だからユート殿、どうかお願いする」


「宮廷魔法師団への要請とかは?この国なら確か〔()()〕率いる一番隊がいるはずですが……」


 〔閃光〕とは宮廷魔法師団一番隊隊長の二つ名で伝説級に至りし、凄腕の魔法師である。

 ユートも彼の戦いをその目で見たことがあり、実力の方も申し分ないと思っている。


「彼らは今北東遠征に出向いている為、この国にはいない……魔族襲撃事件の事を聞きつけこちらに帰還すると言っていたのだが帰るまでは時間がかかるだろう」


「北東、といえばあの"ケイルの砦"の奪還ですか……この国はそこまで手を伸ばしていたんですね」


「うむ、あの砦はなんとしても取り戻さなければならん。人類が生き延びる為には必ず必要になるだろうからな」


「あの要塞の奪還なら国の宮廷魔法師を総出させてる理由も頷けますね……となると、やっぱり僕が保護するのが最善か」


「ん……わたしも、ユートともっと……はなしたい」


 ジータとユートの会話を聞きながらもよく理解できていない様子のレイラが横から話しかける。


「はぁ、まぁそういう理由なら引き受けますよ」


「それは頼もしい!では早速今日から頼む」


「え?それってつまりユートとレイラが同衾するってこと?」


「ん……ユートと……暮らす……」


「まぁ、そういうことになるな」


 アイラの疑問にレイラがユートに密着しながらそう言い、ジータも頷く。

 それを聞いたアイラは一瞬の硬直の後、


「えぇぇぇぇ⁉︎」


 という、叫び声をあげた。







「そんなの認められないわ⁉︎」


 あれから数分、アイラはずっとこの調子だ。


「だいたい年頃の男女がしかも嫁入り前の女の子が同衾だなんてそんなの認められるわけないでしょ⁉︎」


 アイラはレイラがユートの家で暮らすことに未だ猛反対している。


「はぁ……でも、そうしないと一日中見れないじゃないか?」


「ん……」


「それは……そうだけど……」


 ユートの正論にアイラは多少たじろぐがそれでもまだ諦めきれていない。


(だいたいユートと今日初めて会ったとはいえ妹が一つ屋根の下で暮らすなんて……想像しただけで何故か胸が痛い……)


 アイラはそれがなんなのか分からなかった。


「それに僕の家に住んでるのは僕だけじゃないから安心しなよ」


「え?それってどういう……」


()()()()()()()()からアイラが心配するような事はないよ」


「ハイ?ミロクダッテイル?」


「あれ?言ってなかったっけ?」


「初耳よっ⁉︎」


 叫び声にも近いアイラの声がこだまする。


「ユート……貴方ミロクと暮らしてるってどういうこと⁉︎」


「うわっ⁉︎」


 切羽詰まったような様子のアイラがユートの胸ぐらを掴みながらユートを問いただす。

 その姿は凛とした可憐な王女の姿は微塵も存在しなかった。


「うむ、青春だな」


 そんなアイラ達をどこか他人事のように眺めながらジータは笑っていた。







「……そう……彼女にそんなことがあったのね……」


 ミロクの身の上話を一通り聞き終えたアイラは悲しそうにそう呟く。


「……まぁそんなわけで今はミロクと住んでるけど、ミロクがいるならレイラの事も心配要らないだろうしね」


「……まぁ……わかったわ……」


 こうしてアイラの方が先に折れ、レイラとの同居が始まる。


「うむ、決まったかね?ではそろそろ……」


 ーーーコンコン


「失礼します陛下……そろそろ政務の時間ですので……」


「む、ラコンか。分かった今から向かおう……ではユートくん頼んだぞ」


「はい……」


 ユートはそう返事をしながら入ってきた男性を見つめる。

 その視線はどこか観察しているようなものだった。


「彼はラコン宰相よ。とても優秀でパパもよくお世話になってるわ」


「へぇ……」


「これはこれはアイラお嬢様……私はそれほどまで評価されるような事はしてませんよ」


「ご謙遜を……ラコン宰相が優秀であることは国王陛下も分かっておりますわ」


「そのような賞賛の言葉を頂けるとは、私もこの仕事をやっている甲斐がありますな……おっと、そろそろ仕事に戻らなければいけないので……アイラ様、それにそのご友人も、私はこれにてお暇させていただきます」


 ラコンは一礼してその場を離れていく。


「……」


 だがラコンをこと細かく観察していたユートは気づいた。

 ラコンが退散する前、ほんの一瞬だけレイラを見る目が殺意と嫌悪を孕んでいたのを……


 ユートは王宮を出るのにも細心の注意を払うのだった。


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