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双神の御子  作者: 南瓜遥樹
第二章 禁忌の銀姫編
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一話 王宮

 王都での魔族襲撃事件から早二週間が経過し、王都はいつも通りの平穏を無事取り戻して居た。


 ユートはアーゼルとの戦いの後病院で療養していたが、今では普通に学院に通っている。


 そんなある日、いつも通りの日々を過ごして居たユートだが、ふとクラスメイトでこの国の王女であるアイラから声がかかる。


「王宮から呼び出し?僕を……?」


 アイラから聞いた事はどうやらアイラの父、つまりこの国の国王であるジータからの呼び出しだった。


 ちなみにアイラは件の事件後からミロクと関係が良好な為、ユートとも少しづつ関係を深めて居た。今では呼び捨てで呼び合うくらいになっている。


「ええ、私のパパがユートを連れてきて欲しいんだって。なんか大事な話があるとか……」


「何の用だろうね?」


「ユートを呼ぶって事はそれなりに重要な事じゃないかな?」


 ジータからの呼び出しに疑問を浮かべるユートだが、ミロクがそうなことを言った。


「もしかしたらこないだの事かもしれないわね」


「まぁ、行けばわかるね」


 ユートは思考をそこで切り、王宮へ赴くのであった。







 王宮にはアイラが呼んだ馬車で向かう。

 馬車に乗るのはアイラとユートの二人。

 ミロクは今回、大事な話かもしれないと気を利かせて同行しなかった。


「ユートは王宮にはきたことあるの?」


 アイラがふとそんなことを聞く。


「うん……四年くらい前、僕が神話級になってからちょうど一年経った頃に一度だけ。なんでも神話級になると各国に挨拶回りをしなくちゃならないらしくてそれでね」


 ユートはその時のことを思い出す。


 〜〜〜


 四年前、ユートはエリエルに連れられ、ハウード王国の王宮へ赴いた。

 当時のユートは十一歳。

 ユートが神話級になり一年が経った頃、その時はまだユートの序列は十位だった。


「……こんな城に何しに行くの……?」


 今よりも十センチ近く背の低いユートが赤い髪を揺らして機嫌良さそうに鼻歌混じりに陽気に歩く女性、エリエルにぶっきらぼうに尋ねる。


 ユートはフードを被っている為、顔は見えないが、その声から明らかに不機嫌そうだとわかる。


「ん〜?それはね〜、ユートの紹介だよ!神話級に新しく入りましたーって言う事を各国に報告しなきゃ行けないの」


 対するエリエルはどこか嬉しそうな声音でユートの質問に答える。

 ユートはなぜそんなにエリエルが嬉しそうにしているのか分からなかった。


 王宮に入ると、ユートがジャンプしても届かないくらい高い天井ーーー実際には届くに、迷路のように何部屋もの扉とそれらをつなぐ長い廊下が目に移った。


 ユートは初めて見た光景に困惑した。


「……何処?」


 そしてしばらく歩いているうちにエリエルと逸れた。

 同じように続く廊下に等間隔に並べられた扉。ユートは知らないうちに一人でポツンと残されていた。


「……まぁ、片っ端から開いて行けば分かるか……」


 ユートは目につく扉全てを開けていき、エリエルの居場所を探していった。


 ユートがエリエルと逸れてかれこれ五分近く経ち、未だユートは扉の開閉を行なっていた。


「ん?此処から人の気配がする……」


 ユートはいよいよ人がいる部屋を見つけ、なんのためらいもなくその扉を開けた。


 使われていないためか、扉を開いていくとギギギィッという音がする。

 にもかかわらず、中は掃除が行き届いているように綺麗な空間だった。


「……図書室か何かか……?」


 ユートが中を見渡すと、いくつもの本棚にびっしりと本が詰まっていた。


 ユートはそれらに特に目を向けることはなく、人の気配がする方へ歩いていく。

 そして、しばらくしないうちにその人物を見つけた。


「ん?女の子か?」


 そこには簡易的だがある程度豪華なベッドにスヤスヤと眠る、銀髪の女の子がいた。


 〜〜〜


「……ふーん、それじゃあパパとママにあったってことでしょ?なんで顔を覚えられて居ないの?」


「正体を隠す為に認識阻害の魔法をかけてたし、外套で身を包んでたからわからなかったんだよ」


「そう言えば〔黒鬼羅刹〕は素顔を一度も見せたことないって話あったわね……」


「うっ……その名前では呼ばないでほしい……」


 思わぬ爆弾をアイラに投げられたユートは心底嫌そうな顔をして、紅茶を啜った。






「ではこちらへ……」


 王宮で仕えるメイドがアイラとユートを案内していく。

 王宮の中は高価そうな壺や絵画がいたるところに並べられているが、ただ置かれているわけではなく、しっかりと見栄え良く並べられている為、嫌悪感を抱かせない。

 素人目で見ても、美しいと呼べるような造形だった。


 やがて、王へ謁見する間につき、その扉が開かれる。


「ふむ……アイラよ、よく連れてきた。ご苦労」


 見ると、玉座につき独特の雰囲気を出し、王としての威厳を感じさせるジータがいた。


「えぇ、それよりパパ……なんでユートを連れてこいなんて突然言ってきたの?」


 アイラはジータへ思っていたことを口にする。


「うむ……それはな、………………」


 ジータの話はこの間の魔族襲撃の一件のことだった。

 ユートはあの時、アイラを襲った魔族、アーゼルの討伐を単騎で成し遂げた。

 そのせいでユートの素性が割れてしまい、この国の王、ジータに神話級という事がバレてしまった。


 ジータはユートの存在を公に口外しないようにするとユートへ伝えた。


「……分かりました……それで、本当の理由はなんでしょうか?」


「ほう……やはり、流石というべきか……分かっておったとはな……」


「え?」


「アイラよ、今までの話は建前の話なのだ……本当の理由は……ちとお主に合わせたい子がいる。そしてそれはアイラも無関係ではない」


 ジータがそう言って玉座から腰を上げ玉座の裏にある扉を開いた。


「え?」


 そしてそこから出てきたのは、光が反射するたびにキラキラと煌めく銀髪を肩甲骨辺りまで伸ばし、顔立ちがアイラそっくりの少女だった。

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