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双神の御子  作者: 南瓜遥樹
第一章 学院対抗戦編
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閑話 ミロクの想い

ミロクの一人称視点になります。よろしくお願いします。


*あと少し、恋愛成分高めです。

苦手な方はご注意下さい。(この話は本編とは関係ないので飛ばしても特に影響はありません)

 魔族が王都を襲撃した事件から一週間。

 最も被害が多かった東区も今では少しずつ復興が進んでいる。


 あの魔族ーーーアーゼルはその場に駆けつけた神話級のエリエルさんが倒したことになっていた。


 本当はユートが倒したんだけどこれが公になるのは色々と問題があるらしい。


 学院も次の日から始まって、私がクラスに入った途端、クラスメイト達が私を囲って色々質問してきた。

 そういえばあの時はアイラちゃんも囲まれてて色々と大変だったよ。


 ちなみにアイラちゃんとは今ではすっかり仲良し。呼び名もちゃん付けで呼んでいる。

 出会った当初は私にとって高嶺の花だったのにやっぱり人生なにがあるかわからないもんなんだね。


 そして今回の一番の功労者、ユートはと言うと………………残念ながら現在学院に来ていない。


 アーゼルとの戦いが終わったあの後、しばらくしてユートは倒れてしまった。

 そしてすぐに病院へ運ばれて容態を確認したら、無理して魔法を行使したせいで体内の魔力回路がズタボロになっていたらしい。更には私達の受けた傷をユートも受けている為、そのせいで身体も動かなくなってしまっていた。


 専門の治癒魔法師の人は生きているのが不思議とまでいってた。


 私はそれを聞いて、心配すぎてユートの事しか考えられなくなるくらいだった……


 結局ユートが目覚めたのはそれから三日後、私はベットから状態を起こしているユートを見て居ても立っても居られなくなり、ついついユートに飛びついてしまった。


 ユートは苦笑いしながら私の頭を撫でてくれたけど……うぅ……今思えば凄く恥ずかしいよぉ……


 その後は完治するまで安静にと言われていて退院は四日後、つまり今日がその日なのだ。


 私はホームルームが終わると同時に学院を出て病院へ向かった。

 ユートのいる病院は学院から歩いて二十分ほどの場所にある。

 けれど、今の私の足なら三分足らずでつくだろう。

 流石に大通りで爆速するわけにもいかないので家の屋根伝いに移動する。


「ふぅ……到着、と」


 病院に着くと、腕や脚に巻かれていた包帯がすっかり取り除かれたユートの姿が見えた。

 毎日会いにいってるとはいえ病院の外で会えるのはとても懐かしい気分になる。


「ユート!」


 私はユートの方へ歩きながら手を振る。

 私の存在に気づいたユートはお世話になっていた魔法師の人に軽く会釈してこちらへ来てくれる。


「心配かけさせてごめんね。あんな激戦になるのは久しぶりだったから自分の身体の事に気づかなかったよ……」


 はははっと笑いながら頭を掻いているユート。


 むっ……ユートはもう少し自分の事を大事にした方がいいですね。


 そう思った私はついユートさんに怒ってしまう。


「もう、だめだよ。そんな一人で無理しちゃ……少しは私も頼ってね?」


 確かに私ではユートの足手纏いかもしれない……けれど、せめてユートの担う重りを少しでも私が背負えれば……だからこそもっともっと強くならなくてはならないんだ。


 私の意見を聞き驚いた様に目を丸くしたユートでしたが、その後しっかりと頷いてくれました。






「それで、今日はどこに行くの?」


 私はユートの隣を歩きながらそう聞く。

 なんでも私に心配を掛けたそのお礼がしたいそうで、食事に誘ってくれたのだ。

 普段は私が料理しているのでたまには外食もいいかもしれない。

 それに、こうして二人で食事に行くのはまるで……っといけません。変なことを想像してしまい顔が赤くなったのが自分でもわかります。

 私は頭を振って煩悩を霧散させます。


「実はこないだ美味しそうな食べ物があるお店を見つけたんだけど……ってどうしたの?」


「ううん、なんでもないの。続けて?」


「そう?ならいいんだけど……それでそこの店に入ろうとしたんだけど僕一人では入れなくて……」


 どうやらユートが入ろうとした店は一人では入れず連れがいないといけないらしい。

 それも異性同士の二人組で……って、え?

 それって……


 そうこう考えているうちにそのお店に着いてしまいました。

 店の名前は"恋の森"ってなんかそれっぽいお店なんですけどっ⁉︎


 私は慌ててユートに声をかけます。


「え?ユート……ここが……そうなの?」


「うん。この間ここを見たときみんな幸せそうな顔をして帰っていたからそんなに美味しい料理なんだなって思って」


 なんて言ってるけど、それは……


「いらっしゃいませ!お若いお二人さんですけど学生さんですか?」


 そうこうしているうちに若い女の店員さんが声をかけて来ました。


「そうですね。この店は二人で来ないといけないって聞いたんですけど……」


「はい!当店はカップル専用の店です!ではこちらへどうぞ!」


 やっぱりそうだった⁉︎カップル専用ってどんな店なの?

 っていうかユートはなんでそんな平然としているの?


 流されるままについていった私は店員さんが案内した席に座り一息つく。

 ……なんかここまですごい疲れたし、それに……さっきから胸のドキドキが止まんない……顔も赤くなってるし……ユートに見られたらどうしよう……


 そんな私の気も知らず、ユートは絵がついたメニューを見ながらどれも美味しそうと呟いていた。


 ユートは美味しい料理に目が無い。

 ユートが食事している瞬間が一番幸せそうなのだ。


「ミロクはどれにする?どうやらこの店は二人で一つの料理を食べるらしいんだけど」


「ふぇっ⁉︎そ、そうなの?」


 不意に声をかけられて変な声が出てしまった。


「うん、今日はお礼だし、ミロクが選んでいいよ」


「わっ、わかった……じゃあ……これで」


 ユートに見せられたメニューを対して見ずに適当に指をさす。


 ユートはわかったと言って店員さんを呼び、私が選んだ料理を注文していた。


 それから少し、たわいの無い話をしながら頼んだ料理を待つ。


 ある程度時間が経ち、注文した料理がやって来た。


「お待たせしましたー!"運命の赤い糸パスタ"でございます!」


「ぶふっ⁉︎」


 私は店員さんが持ってきた料理の名前に思わず吹き出してしまいます。


 でもしょうがないよね?運命の赤い糸って何?そんな恥ずかしい名前ついてるの?これでも私は年頃の女の子。こういったものには敏感なのだ。

 第一私とユートはそういう関係じゃ無い!

 ただ一緒に暮らして……一緒に暮ら、し……て……あれ?男女が一つ屋根の下暮らしているのって……いや……今は考えるのをやめよう。


 名前はあれだけど料理そのものは見ただけでも美味しそうだった。

 名前はあれだけど……


 と、そこでユートが店員さんに話しかける。


「あれ?フォークが一つしかない様ですが……」


「本当だ、一つ足りないね」


 確かに用意されたフォークは一つだけです。

 けれど店員さんは、それが当然とばかりに笑顔で、


「はい!この料理の食べ方はお互い食べさせ合うというものですから!」


「えぇ⁉︎」


「そうなんだ」


 驚く私と納得するユート。

 だからなんでユートはそんなに冷静なのっ?


「そしてもう一つルールがありまして食べさせてあげるときに『あ〜ん』と言いながら食べさせてあげなければいけません」


「へぇ〜、変わった食べ方をするものなんだね……」


 いや、ユートさん?変わってるどころか異常ですからね⁉︎

 そんな私の気も知らずユートはフォークでパスタをクルクルと絡めて私の口の前に差し出す。


「先にミロクから食べていいよ。えっと確か……はい、あ〜ん」


「〜〜っ〜〜〜⁉︎」


 その瞬間、私の顔が茹で蛸の様に赤くなったのがわかります。先程よりも心臓の鼓動も早くなっている。

 うぅ〜……凄く恥ずかしいよぉ……


 意を決した私は髪を耳にかけながらユートの持つフォークを口に含みます。

 その瞬間、チラチラと私達を見ていた店員さんがキャーっと声を上げながら走り去って行きました。

 あの店員!ただ私の反応を見たかっただけなのでは⁉︎


 結局その後もあーんを繰り返し、なんとか食べ終えることができました。

 私は緊張しすぎて当然のごとく、料理の味なんてわかりませんでした。

 ユートはとても美味しかったと嬉しそうにしています。


 そこで私は気づいてしまいます。

 もしかしてユートってカップルの意味を知らないんじゃ……


 それならこんな恥ずかしいことをやらされて、平然としている理由も納得できます。

 ならば私を異性として見ていないのでしょう。

 そう思うと、私の胸がチクリと針を刺した様に痛みます。


 それでもいつかは……


 そう決心してユートと共に家へと帰るのでした。




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