十五話 対抗戦 ③
リラ対カシューの戦いも終わり、観客の興奮も冷めぬまま、続いて第三、四、五試合目と大会は着々と進められた。
続く第六試合目のマークの試合では、以前よりも魔法の速度の上がったマークが相手の攻撃を受ける間も無く瞬殺、ギャラリーもマークの実力に歓声を上げていた。
七試合目に行われたミロクの試合では、いつも以上に気合の入っていたミロクが、持ち前の火属性魔法を巧みに使い、見事勝利。
その火力と魔法戦の立ち回りは宮廷魔法師からも一目置かれていた。
その後も試合は順調に続き、十試合目が始まろうとしていた。
と、そこでユートは試合を行う生徒にふと違和感を覚える。
「ユートどうしたの?」
ミロクは突然ユートの目つきが鋭くなったのを見て首をかしげる。
「……いや、なんでもない」
ユートは心配は要らないといったように首を横に振る。
「そっか」
ミロクはそんなユートの仕草を見て、これ以上深くは突っ込んでこなかった。
(あの男……なんかおかしい……雰囲気から人間族じゃないみたいだ……だけど……)
ユートが目を向けている先には今もなお茶髪の少年と金髪の少年が戦っている。
ユートは金髪の少年の方を注視していた。
金髪の少年はこれといって特徴は無く、それほど強いようには見えない。
使う魔法の威力も大したことは無いのにそれでもユートはその少年にどこか違和感を感じていた。
(……なんだ、あの感じは……余力は残してるはずなのにそれ以上の強さは感じられない……まさか⁉︎)
ーーー⦅身体劣化⦆
ふとユートはその魔法の名が脳裏によぎる。
それはユートが今もなおかけ続けている無属性魔法の一つ。
自身の身体能力を最大値の10パーセントまで落として制限をかける魔法。
デメリットしかないその魔法はユートのように力を隠さなければならない者しか使わないはずなのだが、金髪の少年が今その魔法を行使している。
(……何かあるかもな……)
ユートは金髪の少年を警戒しながらその戦いを見届けた。
十試合目は案の定、金髪の少年の勝利で幕を閉じた。
他の試合よりも若干見所のかけるその試合から金髪の少年は大した評価を得たわけでも無く、会場にいた誰もがその少年の事を気に止めることはなかった。
一試合挟み、ユートの試合が始まった。
ユートは学院で戦ったように試合が始まると同時に最小限まで手加減した⦅衝撃波⦆で相手の生徒を気絶させて勝利。あまり早い、試合終了に会場はシンと沈み帰ってしまった。
やがて数秒が経ち、会場も時間を取り戻したように騒めき立ち、乾いた拍手がユートへ向けて送られる。
こうして不完全燃焼なまま1回戦の全試合が終了した。
金髪の少年は控え室に戻ると、設営された椅子に座り込んだ。
「……ふぅ、なんとか勝てましたか……………………とまぁこんな感じに演技してりゃあいいのかネ」
金髪の少年はまるで人格が切り替わったかのように口調が変わった。
「それにしても、この魔法は不便だナァ……さっさと王女サマを殺してその後はここにいる奴ラを喰い散らかすとするカ。キヒヒ」
誰もいない部屋で一人、金髪の少年はそのドス黒い光を孕んだ瞳を爛々と輝かせ、不敵に嗤った。
誰も知らないところで、終焉のカウトダウンは刻一刻と刻まれていく……
はずだった……




