十三話 対抗戦 ①
ここは王都東区のとある一角。
ここ東区には王都一大きい闘技場が存在する。その闘技場は今、観客席は満席状態となり、闘技場の周りにも人が溢れかえっているような状態だった。
そして今観客の熱狂と歓声の中、魔法学院に通う一年の代表者達が集う対抗戦が始まろうとしていた。
「一回戦は全部で12試合、一人はシードということでこの枠に入るのは我が校のアイラ様となりました」
現在、闘技場に設備されている控え室の一つをハリオード魔法学院が使用しており、引率の先生が対抗戦の説明をしていた。
「対戦カードはリラさんが第三試合、マークくんが第六試合、ミロクさんが第七試合、最後にユートくんが第十二試合となります」
「ふん、第六試合とは……この平民と当たるのは決勝戦になるのか」
マークは対戦カードを確認して鼻を鳴らしながらユートを睨みつける。
そんなマークの視線にユートは勿論気づいていたが、あえて視線は合わせなかった。また面倒臭いことになると思ったのだろう。
ユート達五人はそれぞれ試合に向けて残りの時間を過ごすのであった。
〜〜〜
ボンッボンッと闘技場の上に花火が打ち上げられる。
その音に呼応するかのように会場の熱気は最高潮になり、盛り上がりが増す。
「さぁ!今年もやってまいりました!対・抗・戦!魔法師を目指す学生達の晴れ姿!私達が最後まで見届けてやりましょー!」
ーーーオオオオオオオオォォ!
司会の声に観客達が同調する。
「今年はなんと!我が国の王女、アイラ様が出場するとのことで例年以上に盛り上がっています!では早速第一試合行ってみよー!」
すでに闘技場の中心には生徒と思わしき二人が相対している。
「それでは早速っ!第一試合……はじめ!」
第一試合では、男の生徒と女の生徒が対決していた。
はじめの方は男の生徒がおしていたのだが、それは女の生徒の作戦だった。
立て続けに魔法を放っていた男の生徒は徐々に疲れが見え始め、好きができたところに女の生徒が魔法を打ち込み勝敗が決した。
この逆転劇に会場は大いに盛り上がった。
「おぉっとぉ!立て続けに責め続けられていた筈のレイシー選手でしたが相手選手の隙を逃さずそのまま撃破!一回戦はドルップ魔法学院のレイシー選手の勝利だ!」
この試合を見ているのは一般客の他にも様々な人がいる。
闘技場を一番良く見える特別席では国王御一行が観戦しており、試合の内容を評していた。
「ふむ、あの娘の動きはなかなかに良いものであったな」
「うふふ、そうですね。あの男の子は負けてしまいましたか……顔はなかなかだったのでぜひアイラを貰ってもらおうと思ったのですが……」
「む!あやつにアイラは渡せんぞ!」
……試合の事よりも跡継ぎのことを話していたようだった。
一方闘技場、立ち見席にて。
「ほう……今年はなかなか粒ぞろいではないか」
「そうですね。これは三年後が楽しみですね、副団長」
「あぁ」
闘技場の警備として宮廷魔法師が巡回していた。
彼らは警備のほかにも選手の腕を見極めてスカウトしなければならない。寧ろ警備よりも、こちらの方が重要だったりする。
一試合目も終わり、闘技場の整備をした後すぐに二試合目が行われようとしていた。
「じゃあ、行ってくるね!ユート、ミロクちゃん!」
「うん、頑張って」
「リラちゃん、頑張ってね」
リラはそう言って控え室から出て行く。
ユートとミロクの二人はリラに声援を送り、その後ろ姿を見届けた。
「さぁ、どんどん行きましょう!続いて二試合目、ドルップ魔法学院のカシュー君対、ハリオード魔法学院のリラちゃんだぁ!」
リラは闘技場の真ん中に立ち、深呼吸をする。
リラの目の前にいる対戦相手、カシューという名の少年は小柄なリラとは相対的にリラのふた回りほど上回る身長で十五歳とは思えないほど筋肉質だった。
リラは若干緊張しながらも息を整える。
そして覚悟を決めたように臨戦態勢になるがその時、目の前にいるカシューに声をかけられた。
「なぁ、リラとか言ったか?悪い事はいわねぇ……棄権しな」
「え?」
「お前みたいなみみっちいのが戦う舞台としてはちとデカすぎるぜ」
カシューはそう言ってニヤッと意地の悪い笑みを浮かべる。
そんなカシューを見たリラはと言うと……
「……言ってくれるねぇ……そんなのやって見なきゃわかんないね!この筋肉ダルマ!」
額に青筋を浮かべ、おもいっきり好戦的だった。
「それでは二試合目……はじめっ!」
その声を聞くや否やリラは瞬時に魔法を発動する。
「⦅水斬⦆!」
水で形成された刃がカシューに襲いかかる。その威力は以前よりも増しており、発動にも全くと言っていいほど時間はかかっていなかった。
カシューはリラの攻撃を避けようとせずにそのまま地面に手を付く。
「⦅土壁⦆!」
瞬間、カシューの前に土壁が形成され、リラの魔法を防ぐ。
「チッ!」
リラは舌打ちしつつ一射、また一射と魔法を放つがカシューの形成した土壁を貫通するには至らない。
カシューは仁王立ちしたまま腕を組み、余裕の表情でリラの攻撃を防いでいた。
脇でリラの試合を見ていたユートはカシューの実力を見て素直に驚いていた。
「あのカシューって言う男、相当強いね。特にあの胆力と魔力は他の生徒よりも頭一つ抜けているよ」
「え?じゃあ、リラちゃんはあの人には勝てないの?」
隣にいるミロクはリラを心配するような顔でユートを見上げる。
「このままじゃ、リラの魔力切れでカシューが勝つね」
「そんな……」
「……まぁ、リラがあの⦅土壁⦆の弱点を見敗れれば勝てるよ」
「ほんとに⁉︎」
「うん」
ミロクは再び、試合に目を向け、リラの勝利を願った。




