一話 表と裏、それぞれの始まり
ちょっと短めです
十六話
とある王都にある屋敷の中にてーーー
「計画は順調か?」
『フヒヒヒヒィ、アぁ、なんトか学院へのシン入に成功しタゼェ』
「ふん、そうか……ならば後は殺すだけだな……」
『アぁ、タイミングはオメェがハカレヨ?』
「無論だ……一ヶ月後、一学年のみで行う対抗戦がある。そこで殺れ」
『了解しタ。クククッ、しかし人間ってのは欲深い生き物だナァ。まさかオレらを使うとはヨォ』
暗闇の中、男は楽しげにカラカラと嗤う。
「ふん、使えるものはなんでも使う。アレを始末すればこの国は大きく傾くだろうからな。抜かるなよ」
『ハッ、誰にモノを言っていル。ヒナタの世界で暮らしてる奴らを殺るなんてイージーすぎるゼ』
「ふん、ではとっとと去れ。お前の様な奴と長時間居たくない」
『ひでぇヤツだなァ、テメェは。まぁオレも同意見だがナ』
そう言って暗闇の中から一人の男が消えていく。
一人になった男はシンと沈み返った部屋で一人呟く。
「帝国に勝利を……」
〜〜〜
「へぇ、意外と合格者は多いんだな」
「毎年200人で1クラス40人、5クラス編成らしいですよ?」
魔法学院の入口で入学者であろう人だかりを見ながらユート達はそんな話しをしていた。
「この後は講堂で入学式だそうです」
「講堂ってどこ何処にあるのかな?まぁ、この人だかりの後に続けばそのうち着くか」
「そうですね」
「……」
「……」
淡々と話しながら講堂へ向かうユート達。
しかし、歩く速さはいつもより少し早く、居心地悪そうにしていた。理由は至極単純、周囲からの視線がユート達に集まっていたからだ。
以前、ユートが入学試験を受けに行った時も、ユートへの視線はあったがその時よりも遥かに多い。あの時は女子の視線ばかりだったが今は男子からの注目も集めていた。そしてその視線の先はユートではなく、隣を歩くミロクだった。
「あの子、めっちゃ可愛くない?」
「獣人族だろ?珍しいな」
「俺声かけてみよっかな?」
「やめとけ、隣の男見てみろ。お前じゃ勝てない」
「くそ、あのイケメンやろう。呪ってやる」
すると突然男子からも視線を浴び始めるユート。その視線からは殺気やら怨嗟が感じられた。隣のミロクはほんのり顔を赤くしてうつむきながら歩いている。
「ここが講堂か、広いな」
「そ、そうですね。ここに座りましょうか」
ユート達は端っこの席に着く。
しばらくしてこの学院の先生らしき人が壇上に上がり入学式を始めた。
入学式と言っても特に特別なものは無くこの学院の説明や生徒会長の話、学院長の話など退屈なものばかりであった。
隣のミロクも途中までは聞いていたのだが、学院長の話があまりにも長くてうたた寝していた。
そんなこんなで入学式も終わり、ユート達は自分達のクラスへ足を運んでいった。




