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双神の御子  作者: 南瓜遥樹
序章 学院入学編
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十三話 ユートvs学院長

 吹き荒れる嵐のような魔力波。

 ユートは目の前から発せられる強い魔力の衝撃を受けながらなおも平然とその場で立っていた。


「くっ!ここまで衝撃がくる…⁉︎」


「なんて桁外れな魔力なの…⁉︎」


 一方、離れたところから観戦しているアイラ達はデュッホの魔力を受けて立っているのもやっとと言う感じだった。


「ふむ、やはりこの程度の魔力など大したことないかのう」


「まぁ、これくらいなら大したことはないですね」


「フォッフォッフォッ、言うわい!ならばこれはどうかの?」


 デュッホは魔力の放出を止めて今度は両手に魔力を収束していく。


「ならこれはどうかのう…⦅火竜砲(イグニッション)⦆!」


 デュッホの手から特大の火の玉が形成され、放出される。火の玉は直線上にユートの元へ音速を超えて向かっていく。直撃すれば並の人間ならばタダでは済まないだろう。

 そしてユートは逃げる間も無くその火の玉に被弾した。

 これには流石の試験官の青年も顔を青ざめながら声を荒げる。


「が、学院長!流石に生徒相手に上級魔法などやり過ぎです!早く少年の手当を!」


 だが、デュッホにユートを助ける気配は見当たらない。それどころか第二射を放とうとデュッホは魔力を収束させていた。

 試験官の青年はデュッホの行動を見て更に声を荒げる。隣にいるアイラ達も固唾を呑んで見守っていた。


「学院長!それ以上はやめてください!本当に少年が死んでしまいます!」


 デュッホはなおも魔力を練り上げていく。止まる気はやはり無い。

 試験官の青年は顔を蒼白とさせて未だ煙の晴れないユートのいた位置を見つめた。


 デュッホは内心冷や汗をかいていた。

 手加減してたとは言え火属性の上級魔法をまともに受けたのだ。そのダメージは少なく無いはず。

 だが現実は違った。

 黒煙でユートの様子を見ることは出来ないが魔力探知を使ってユートの安否は確認できる。


「……まさかここまでとはのぅ……」


 やがて煙が晴れていく。

 彼は、ユートは傷を受けるどころか全くの()()でその場に立っていた。


 ユートが何故無傷なのか?

 それはユートがデュッホの()()()()()()()()()()である。

 比喩ではなく物理的に自分の持つ剣で魔法そのものを斬ったのだ。

 簡単に聞こえるが常人ではなせる技では無い。

 デュッホの魔法は音速を超えていた。更に威力も初級魔法なんぞ比べ物にならないものである。それを魔法なしで、つまり生身の状態でユートは剣で斬り裂いたのだ。普通に考えればまず不可能だろう。だがユートに常識は通用しない。

 ユートは、神話級は、すでに常識など逸脱しているのだから。


 ユートが無傷でその場に立っている事に見ていた者全てが信じられないと言ったような目をしていた。

 ユートが魔法を使った痕跡など見当たらない。なのにあんな大魔法をまともに受けて無傷なのが疑問でしょうがなかった。

 そんな皆の気持ちを代弁したかのようにデュッホが口を開く。


「お主……今どのように儂の⦅火竜砲(イグニッション)⦆を防いだのじゃ?魔法を使用した痕跡は見当たらないようじゃが……」


「斬りました」


「何?」


「剣で魔法を斬り裂きました」


「「「「……」」」」


 ユートのとんでもない発言に一同開いた口が塞がらない。

 ーーー今なんて?魔法を斬った?魔法を使わずに?そんな事が人間に可能なのか?


「はっ、ハッタリだ!そんな事できるわけねぇーだろ!イカサマしたんだ!」


 先程まで固まっていた茶髪の少年が急に喚き立てる。しかし、この場合茶髪の少年の言ってる事は理解できないわけではない。何せ有り得ない状況をその目で見せられたのだから。アイラや試験官もその言葉を聞いて納得したようにユートを疑わしい目で見始める。


「そんな事言っても事実だからなぁ……」


 ユートはそう言いながら困った顔を浮かべる。

 そんな微妙な空気が突然笑い声で壊れる。


「フォッフォッフォッ!いやはやまさか、生身で儂の魔法を斬り裂く人間がおるとは長生きはするもんじゃわい」


 デュッホはユートの言葉を信じているかのように話し出す。

 しかし、納得していない試験官の青年はデュッホに抗議する。


「学院長。彼はなんらかの不正を下に違いありません。不合格にすべきです」


 だがそんな試験官を意に返さずデュッホは、


「フォッフォッフォッ、確かに今まで見たことは無かったが原理的に不可能なわけじゃないわい」


 などと言いながら笑う。


「し、しかし……」


 試験官の青年は納得してないようで尚も食い下がろうとするが、


「それに、仮に不正だとしてお主にそれが証明できるのかのぉ?」


「それは……」


 デュッホの一言で試験官の青年も言い淀んでしまう。

 デュッホが見つけられなかった不正を自分が見つけられるわけがない。そう判断した青年はやがて諦め、


「……わかりました」


 と渋々頷いた。


 一連のやりとりを見て何とか認めてもらえたと思いホッとしたユートは、デュッホに再戦するように切り出した。


「では続きを始めましょうか」


 ユートは剣の柄を握り直し、再度戦いに意識を集中させる。しかし次のデュッホの言葉でそれがすぐに無駄になる。


「いや、試験はこれで終わりでいいじゃろう。今の時間でちょうど三分じゃ」


「いいんですか……?」


 ユートは未だ信じられずと言った風にデュッホに問う。


「良いのじゃ、ユートくんを合格として試験を終了する」


 こうしてあっけなくユートの試験は幕引きとなり、無事魔法学院の入学が決定したのであった。




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