表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
双神の御子  作者: 南瓜遥樹
序章 学院入学編
12/62

十一話 王女vs試験官

「では次は……アイラ様、お願いします」


「分かりました」


 続いて二人目の推薦者である琥珀色の髪をなびかせた少女ーーーアイラが試験官に呼ばれて一歩前へ出る。切れ目で少々きつい印象を受けるが誰が見ても美しいと言える美貌を持つ美少女だ。

 ユートは試験官が先ほどの少年との態度の違いに疑問を持つ。明らかに試験官の方が少女に対して謙っていたからだ。


「ひょっとしてお偉いさんかな?でもあの顔どこかで……」


 そんな事を考えていると突然隣から声がかかる。


「ふん……アイラ様を知らないとは、とんだ田舎者がいたもんだ。それに平民などが推薦者など……」


 ユートは声のした方を向くとそこには先程試験を行っていた茶髪の少年がいた。少年はユートにキッと睨むような目線を送り付ける。喋る口調もどこかユートの事を小馬鹿にしたような感じだ。

 ユートは肩をすくめながらこの人も貴族かな、なんて考えながら視線を少女の方に移す。

 どうやら試験も始まるようだ。


「では、全力でかかってきてください」


「分かりました……行きますっ!」


 アイラはそう言うと腰に携えていた細剣を抜き出し、突貫していく。そんな彼女に試験官は近づかせまいと初級魔法の⦅岩弾(ロックバレット)⦆を3発放つ。しかしアイラは迫る⦅岩弾⦆を勢いを殺す事なく、身をよじるように躱していく。その身体をしなやかに捻らせる姿にその場にいる全員が思わず見惚れてしまうような優美さがあった。勿論美しさだけでなく動きに一切無駄が無いとても洗練されいるものであった。

 ユートもその動きを見て思わずほぅと感嘆を漏らしており、少女の動きを注視している。


「さすがですね……ならばこれでどうでしょう、⦅土人形(マッドパペット)⦆!」


 試験官がそう唱えると地面から人の形をしたマッドパペットが二体形成されていく。その人形の手には剣が握られていた。


 土属性中級魔法、⦅土人形⦆はその名の通り、地面から発動者の思い描くものを形成する魔法である。その人形に意思はないが発動者の簡単な命令を実行できる。


「行け!土人形達よ!」


「ッ⁉︎」


 アイラは突然で出て来た人形に驚きながらも直ぐに立て直し、細剣を構えながら魔法を唱える。


「⦅風衣(ウィンドベール)⦆!」


 瞬間、アイラの身体が風を纏うように包まれていく。その風は彼女が持つ細剣にも纏わせていた。

 アイラは膝をググッと曲げて一気に駆ける。

 その速さは音速を超えるほどで一合を交える事なく二体の人形の首を跳ね飛ばした。さらにその勢いは止まる事なく今度こそ試験官の目の前に迫る。そして試験官に目掛けて細剣を突き出した。


 しかし、試験官の男は焦る事なく手を地面につきながら魔法唱える。


「⦅土壁(アースウォール)⦆!」


 ガキィィンと音を立ててその壁はアイラの持つ細剣を弾く。その反動でアイラは体勢を崩してしまう。


「しまっ⁉︎」


 そして、その隙を試験官は逃すはずは無く、携えていた剣を振り抜き彼女に迫る。


「くっ⁉︎」


 慌てて体勢を立て直して細剣でその剣を弾こうとしたがもう遅い。

 試験官の剣はアイラの喉元に突き刺さる寸前で止まる。


「参りました」


 アイラは潔く敗北を認め細剣を鞘に納める。その後ふぅっと息を吐き、試験官に頭を下げてその場から離れていった。


「へぇ、女の子なのに凄いなぁ」


 ユートは先程の戦いを見ていて素直に賞賛していた。アイラの回避技術は一日二日で身につくものでも無い。更にそれを実践で行える胆力と戦況を冷静に分析する能力にも目を光るものを感じていた。


「後はこの子が()()()()()で戦えば、伝説級までいけるだろうな」


 ユートはアイラの秘める潜在能力にこれからが楽しみだなと考えながら戦闘準備をしていた。


「ふぅ、やはり殿()()の細剣術は素晴らしかった。僕も少々きつくなってしまってね……悪いけど最期の君、少し待っててくれないか?」


「え?あ、はい……分かりました」


 ユートは意気込んでいたところ待ったをかけられ肩透かしをくらいつつも試験官の言葉に驚いていた。


(殿下って……じゃあさっきの女の子は王女様だったのか……)


 ユートはそのまま待機しているとふと誰かがここに来る気配を感じる。

 気配の方角へ目を向けると六十は超えているような老人がこちらへ向かっていた。やがて足音も近くなり、他のメンバーもその老人に気付き始めた。

 ユート達は誰だろう?と疑問に思っていたが試験官は驚いたような顔をしていた。


「学院長⁉︎」


 その老人の正体はこの学院の学院長であった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ