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双神の御子  作者: 南瓜遥樹
序章 学院入学編
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十話 推薦組

「……じゃあ行ってくるよ」


「はい、行ってらっしゃいユートさん……でも本当に私は行かなくてもいいんですか?」


「あぁ、だから待っていてくれ」


「分かりました」


 今日は魔法学院の試験日。ユートはミロクに挨拶を済ませてから魔法学院へ向かうのであった。


「…へぇ、やっぱり結構人がいるんだね……」


 ユートは受験生であろう少年少女を見ながらそのようなことを呟く。だがユートはふとその子達の視線が自分に向けられていることに気づく。


「……なんか凄い見られてるけど…なんか目立つことしたかなぁ?」


 不安げに呟くユート。しかし身に覚えがないためその理由が見つからない。

 周りは何やらヒソヒソとユートの事を話している。


「ねぇ、あの人の髪の色珍しくない?」

「えぇ、それに瞳の色まで黒…」

「しかも意外とカッコいい……」


 どうやらユートの容姿で注目を浴びているようだった。ユートの持つ特徴、黒髪黒瞳はここ、ハウード王国では中々見ない色である。

 ユートは特に問題を起こしたわけではないと知り安堵しつつ試験会場である魔法学院に足を進めた。


 やがて門の前に立つ係員のような人を見つけ、その人に声を掛ける。


「すみません」


「おや?君も受験者かな?なら受験票を見せてもらいたい」


「どうぞ」


 ユートはポケットから取り出した一枚の紙を取り出す。


「ふむふむ…ユート・ラルシエール……む⁉︎推薦者か。ではこちらに来てくれ」


 係員の人はユートの受験票を見て驚きながらも即座に立て直してユートを案内する。


 〜〜〜


 一方、とある学院の一部屋では二人の男が話し合っていた。


「今年の推薦者は三人ですか…」


「うむ、どの子も中々優秀そうじゃ」


 そう言った男は自身の長く伸びた髭をさすりながら不敵な笑みを浮かべる。


「確かにあの三大公爵家の一つであるレーヴィン家の長男と我がハウード王国の王女が同じ年で入学とは中々……しかし学院長もう一人のユートとか言う平民が何故推薦など……」


 20代くらいの若い男は眉にしわを寄せながら目の前に座る男へ問い掛ける。


「ふむ……しかしその少年はな、シルフくんが推薦してきたのだよ」


「何⁉︎あの〔孤高の魔法師〕直々の推薦だと⁉︎」


 男は信じられないと言った風に驚く。


「さて…今年は面白そうだのう……」


 そう言いながら男は不敵に笑っていた。


 〜〜〜


 ユートが案内された先ーーーそれは学院内に設置されている闘技場だった。その闘技場にはユートと同じくらいの年の少年と少女一人づついた。どちらも佇まいや服装で貴族という事がわかる。


「君が推薦者最後の一人の子かな?」


 まだ20歳になったばかりくらいの若い青年、恐らく試験官の男はユートに確認を取る。


「はい。ユート・ラルシエールと言います。よろしくお願いします」


 ユートはそう言って丁寧に頭を下げる。


「分かった。では早速君たちの試験を始めよう……試験内容は事前に伝えられている通り、模擬戦をする。対戦内容は君達と僕で一対一で行う。これは君達の今の能力を見る為なので全力でかかって来てほしい。どちらかが参ったと言った時点で試験は終了だ。いいかな?」


「「「はい」」」


 試験官の説明を聞き、ユートら三人は頷く。


「よし、では早速そこの茶髪の青年から始めてもらおう」


「分かりました」


 茶髪の少年はそう言って一歩前に出る。よほど自身があるのかその顔からは笑みが浮かんでいる。


「では、遠慮なくかかってきたまえ」


「行きます!【雷槍(ライトニングランス)】!」


 茶髪少年は右手を突き出しながら一言発する。すると少年の掌から雷が蓄電されていき、すぐさま槍のように鋭く射出される。


「ほう、無詠唱をこの歳でできるとは、噂に違わず素晴らしい才能だなっ!【土壁(アースウォール)】!」


 試験官の男は少年に賞賛を送りつつも目の前に土の壁を形成して少年が放った魔法を防御する。


「へぇ、意外とやるもんだな…」


 ユートは目の前の二人の攻防を見て感嘆を漏らす。実はユートはここに来るまで魔法学院のレベルは低いものだと見くびっていた。しかし、思った以上のレベルの高さでユートはその考えを改めた。


「くらえっ!【雷槍(ライトニングランス)】!【火槍(ファイアランス)】!」


 茶髪少年は先程繰り出した魔法の別属性の魔法を繰り出す。


「何⁉︎二属性適正(デュアル)かっ⁉︎」


 試験官の男はそう言いながら驚いた。

 適正魔法は基本一属性しかないが少年のように稀に二属性以上、適正魔法がある者が存在する。

 試験官は土の壁を展開しながら少年の攻撃を防ぐ。


 何回か攻防を続けているうちに魔法を連発していた少年の方が押され始めやがて膝をついた。


「くっ⁉︎参りました」


 少年は悔しそうに降参を宣言する。


「うん、中々いい動きだった。これから三年間学院で経験を積めば君はもっと伸びるだろう」


 そう言って試験官は少年を起こす為に手を出す。


「はい、ありがとうございます」


 少年は自分の評価に満足したのか、苦しそうな顔を笑顔に変え、その手を取る。


 こうして一人目の推薦者の試験が終了した。



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