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俺と除霊とブラックバイト  作者: ゆずさくら


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(77)

 結局、交代まで列は途切れず、並んだ状態でレジを引き渡した。

 着替えて、家路についた。

 駅を降りて、冴島さんの家につくと、玄関先に秘書の中島さんが待っていた。

「遅いよ。待ちくたびれちゃった」

「すみません、待たせてるとは思わなくて」

「あ、入っちゃダメ、そっちのガレージ側に行って」

 シャッターが閉まっている方に行った。

 ガン、という音に続いて、ガラガラとシャッターが巻き上がる音がした。

 その先に中島さんの足先が見えた。

「ちょっと遅いのよね」

「ここで消毒するんですか?」

「悪いけど、衣服は焼却するから」

 俺は怒りとともに聞き返した。

「は?」

「しかたないじゃない。冴島さんの指示よ」

 俺がガレージに入ると、シャッターがまた閉まっていった。

「俺が入ったら締めるなら、わざわざシャッターを開けないで、門から横に入れば早かったのでは?」

「今気づいたわ」

「……」

 野外バーベキューでもやるような、でかいグリルが置かれていた。

「ここに脱いだ服を入れて」

 俺は順番に脱いでそこにいれる。服が炭焼きにされるような気がした。

「あの……」

「あっ、全部よ全部」

 下着も? 秘書の中島さんの前でマッパにならねばならんのか。

「……終わりました」

「はい」

 どうするのかと思ったら、バーナーを持ってきて『ゴー』という青い炎で一気にグリル内の服に点火した。それでも物足りないようで赤い炎を吹き消すようにバーナーであぷって燃やしてしまった。

 俺は股間を隠しながら言った。

「これで終わりですか?」

「庭に行って」

「あの、服着てないんですけど」

「いいから庭」

 中島さんはうつむいたまま指さした。

 俺はガレージを出て庭に出た。朝のせいか、風が吹くと寒かった。あちこちに鳥肌がたった。庭は、小さい庭だったが、洗濯ものを干す台やら、ドラム缶やらを置くスペースはあった。

「ちょっと待って…… ドラム缶って」

 ドラム缶はブロックで持ち上げられていて、下に(まき)がくべられていた。ドラム缶からほのかに湯気が上がっている。

「まさか……」

 ちょっと視線をずらすと、黄色い怪しげな機械と、それにつながった長いパイプが見える。

 煮るのか、と思っていたが、こっちの高圧洗浄機で……

「高圧洗浄機は危険だから、お尻とかはやらないわよ」

「……」

 じゃあ、お尻とか危険じゃない場所はやるんだ…… 俺は冷たさとか痛さとかを予想した。

「なんでもいいです。覚悟は出来ました」

「じゃあ、この塩素系で身体洗って……」

 俺は怒りを込めて聞き返した。

「マジ?」

「冴島さんの指示だから」

「……」

 俺は生まれて初めて、『塩素系混ぜるな危険』で身体をあらい始めた。

 虫で傷ついたところはかさぶたになっていたので、そっと撫でるように洗ったが、それでもしみて痛い。

「あ、目とか顔とか、あと『敏感な部分』はそれ使わないでいいから」

 嫌味を言いたくなっていた。

「敏感なところって、どういうところですか?」

 中島さんは見下すような視線で、俺の股間を見て言った。

「君のソチンのことだよ」

「……」

 間髪入れずに切り返されて、逆に泣きたくなったが我慢して体を洗い進めた。

「次は、残りの部分を普通にこれで洗って」

「残りの部分って……」

 中島さんは見下すような視線で、俺の股間を見て言った。

「きみのそちんとかのこと。何度言わせる気?」

 こうやって冷たいセリフを言われるの、これはこれでクセになるかもしれないな、と思った。

「洗いました」

「じゃあ穴のあなは手で押さえて。高圧洗浄するから」

「ひ~」

「大丈夫、ダイヤルは『弱』よ」

 ガーッと体が熱くなるくらい冷たくて圧力のかかった水を吹き付けられた。

 痛みと冷たさと、過ぎ去ったところが熱くなってきてかゆくなってくる。虫が食ったところのかさぶたがはがれ飛んだ。

 体のあちこちから血が流れる。

「ふぅ~」

 こっちも『ふぅ~』って言いたいよ、と返したかったが、その言葉は飲み込んだ。

「はい。最後、そのドラム缶で十分」

 かなり煮立っているような気がするが……

「これ、人間が入れる温度ですか?」

「あ、温度計はあるのよ。測ってみて?」

 俺は測ると42度を示している。まあ、屋外で入るのだからこれくらいあればいいのか。

 俺はドラム缶に足を入れた。

「あっ、熱っ!」

「あっ、入るとき、下が熱いからこの木の板を敷いて、って書いてあった」

「遅いですよ! 早く貸してください」 

 俺は両脇に足をかけて板をうけとり、それの上に乗った。

 中島さんは火加減が分からないのか、酷い熱さの中、本当に『かまゆで』になるか、と思った。

「10分たったね」

「……」

 かえって変な汗をかいてしまったように思える。

 中島さんは(まき)を引っ張りだして、広げて消した。

「まだあるから、早く上がって」

「え~」

 もう何も隠さず、自分の気持ちをそのまま声にしてしまっていた。

「服を着る前に、(ぬさ)(はら)うんだってさ」

「……」

 まだ裸のまま庭に立たねばならんのか。

 ばさ、ばさ、ばさ、と(ぬさ)(はら)われる。

「頭下げて」

 ばさ、ばさ、ばさ。

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