表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺と除霊とブラックバイト  作者: ゆずさくら


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/103

(64)

「橋口さん、この結界、どうすればいいですか? 『助逃壁』は効きますか? 『鉄龍』はどうですか?」

 橋口さんは、俺の言葉など聞こえていないようだった。

 軍服をきた長身痩躯の男が迫ってきているのだ。

「こんなに単純な結界に嵌るとはな…… ククッ」

 俺には男の目が光ったように思えた。

「とにかく『助逃壁』行け!」

 俺は竜頭を押し込んだ。

 放たれた光の壁は、橋口さんを押さえつけている結界をスルーして、軍服の男へと飛んでいく。

 男は、ひょい、と石垣に飛び上がると、さらに跳躍して俺の背後に降り立った。

「何度もそんなものを食らうか」

 一瞬で間を詰められ、正面へ突き出した右足が俺に飛んでくる。

 かわせ…… 心の中ではそう叫ぶが、間に合わない。

「うぉっ」

 体重差だろうか、筋力の違いだろうか、俺はカンタンに蹴り飛ばされた。橋口さんのいる結界にぶつかって、今度は地面に叩きつけられる。

「ぐっ……」

 自分の腕が胸と地面の間に挟まって、胸の一点を強打した。

 息が……

 うつ伏せから体をひねって空を見上げると、軍の帽子にこけた頬、軍服の男が視界入った。

「死ね虫けら」

 ブーツが顔に落とされる。

 瞬間に体をひねってかわす。

「避けるか、それなら」

 左足をひねるがわに突き立て、右足でボールをけるように振り込んでくる。

「あっ」

 激痛が顔面に広がる。ほとんどしびれているものの、口へ流れてくるものが感じられる。 

「ほら、逃げてみろよ」

 ガツン、と骨がぶつかる音がする。

 まずい、これをかわさないと、死ぬ……

「もういっちょ」

 大きく振り上げた時、一瞬体を九の字に曲げて、左足の抑えをかわす。

 俺は体をねじり、転がる。距離ができるまで、何回も転がった。

 そこで身体を起こすと、声が聞こえた。

「かげやま…… くん」

 橋口さんが四つん這いになって、俺を呼んでいる。

 涙をぬぐって、しっかりと目を開く。

 橋口さんの紫色のセーターの胸元から、大きな胸が…… 谷間というか、房の揺れが…… 魅力的な光景に、俺は頭がクラッとなった。

「あんッ!」

 橋口さんが、反射的にそう言う。

 俺はいつの間にか、橋口さんの背中に回っていた。

 そして俺の手は、橋口さんの胸の前に当たっていて、地面と胸に挟まれていた。

「ご、ごめんなさい。おれ、触るつもりじゃ……」

「ちょ、頂戴」

 俺の腰も橋口さんの柔らかいお尻のあたりにあたって、気持ち良くなっていた。

「ちょ、ちょうだいって?」

「結界を破る力!」

 と、突然、ぱあっ、と橋口さんの胸のあたりが光った。

 俺はまぶしさに目を閉じた。

「なんですか、この光?」

 急に暗くなった、と思って目を開けた。

 目が慣れてくると、状況が分かった。

 俺と橋口さんは結界の外出ていた。

 軍服の男は、顔を覆っていた腕を開いてこっちを見る。

「結界を壊したというのか」

「このこのエロパワーをなめないことね」

「えっ? エロパワー? なんかもっとカッコいい名前着けてくださいよ」

「じゃあ、スケベパワー」

 俺は項垂れた。

「ならば俺の霊弾を食らえ」

 軍服の男は、手袋をした手の人差し指を伸ばし、親指を立てて、銃のような形をつくる。

 そして、狙いをつけると、そこから光る霊弾が発射された。

「かげやまくん、トレンチコート!」

 俺は地面に落としていたトレンチコートに飛びつき、橋口さんに投げた。

 自然と広がったトレンチコートが男の放った霊弾を捉える。

 橋口さんが、トレンチコートのうしろから鉄拳を霊弾に向けて打ち込む。

 すると、霊弾は倍のスピードで男に返っていく。

「ぐはっ……」

「橋口さん、効いてますよ! もう一発」

「屋敷の時のようにここは霊圧高くないんだケド」

 霊を弾丸として打ち出す技だ。周りから取り込む霊力がないと、自分で振り絞るしかない。霊圧が高ければやりやすいということなのだろう。そして、ここは街中、霊圧は高くない。

 橋口さんは俺を手招きする。

「?」

 そして胸を手で持ち上げてみせる。

「ここに手を当てて」

「えっ!」

 俺は引いてしまった。しかし、橋口さんは俺の手を引いて胸に押し当てる。

「ほら、さっきみたいに後ろに回って」

「……」

「早く!」

「はい」

 俺はもうやけになって橋口さんの胸を触った。

 柔らかいし、後ろに回ると橋口さんの髪からほんのりいいにおいがする。

 自然と背中に体を押し付けてしまう。

 橋口さんもさっきの軍服男のように人差し指を伸ばし、親指を照準よろしく立て、狙いをつけた。

「霊力頂戴!」

「はいっ!」

 霊力なのか、精力なのか、頭のなかがぐっちゃぐちゃになってわからなかった。

 けれど橋口さんの大きな胸が光って、俺は目をつぶった。

 ドンっ、と大きな音がして、目を開くと、軍服の男は胸を抑えていた。

 苦しそうに、膝をつく。

「ぐぁ……」

 スッと、男の周囲の空気が歪む。

 何か、帽子、外套、軍服を着た男が抜けていくように思えた。

 男はみるみるうちにおっさんに金を渡す前の体格に戻っていく。

「霊が抜けた?」

「そ。成仏したってこと」

 男は、うつ伏せに倒れ込んだ。

「だ、大丈夫?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ