表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺と除霊とブラックバイト  作者: ゆずさくら


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/103

(63)

 俺はそれを止めに跳び出そう、とすると、

「待ちなさい」

 と言われ橋口さんに腕を掴まれる。

「もう間に合わない」

「けど……」

「あなたは他の客を避難させて」

「なんて言って説明すれば」

「そんなこと考えて」

 橋口さんはVIPルームへ近づく。俺はホールの真ん中で言う。

「VIPループで危険物が見つかりました。慌てないで、速やかに店の外に出てください。皆さん、慌てず、店の外へ出てください」

 夜も遅くなっていて、満員という状態ではなかったが、結構な数の客が出入り口に急ぐ。慌てて会計をする店員。

 会計を任せた客はどんどん出ていく。

 VIPの扉を少し開けて、橋口さんは中を覗く。

 客が出て行き静かになったホールで、突然俺のGLPが警告音を鳴らす。

「なんだ?」

 見ると『助逃壁』の表示がフラッシュしている。

 初めて見る表示に、どう対応していいのか慌てる。

 VIPルーム側を見ると、GLPの警告の意味が分かる。『助逃壁』が捉えた霊体が多すぎて、破裂しそうなのだ。

「橋口さん、伏せて!」

「?」

 俺はジェスチャー伝えようと、手を広げて床に伏せるような仕草をしてみせる。

 意味に気が付いて、橋口さんが床に伏せる。

 遅れて俺も伏せる。

 物理的にVIPルームの扉が破壊されて吹き飛ぶ、店内を仕切っているガラスとそのガラスが一斉に割れる。

「うわっ!」

 大きな音が終わって、俺は立ち上がる。橋口さんが伏せたままなのに気付いて、助けに行く。

「橋口さん」

「私は大丈夫よ、連中には逃げられちゃったケド」

「えっ?」

 俺は破壊されたVIPルームの扉から中を見る。チーフが倒れ込んでいる以外に、人影はいない。

「チーフっ!」

 ホールの端で騒いでいる女の子に救急車を呼ぶように言う。

「チーフが倒れてる、救急車を呼んで!」

「私は奴らを追うわ」

「俺も行きます」

 チーフに応急処置をしてから、俺は立ち上がる。

「……あなた、麗子に何か指示されているわね?」  

 俺は自分の体を見た。

「?」

「いいわ。やれる範囲で。ついてきなさい」

 そういうことか、と俺は持った。冴島さんからの指示、確かにあった。『これからさき、この男に近づかないこと』つまり俺はその範囲内でしか動けないということか。

「はい」

 橋口さんが何かを感じ取るように通りを右に左に進み、気配を感じるように視線を配る。

 俺は急に動き出す橋口さんに置いていかれないように後をついていく。

「橋口さん」

「なに? 集中が必要なんだケド」

 立ち止まって振り向いた。

 ぶつからないように止まる。

霊痕(れいこん)とか見えたり感じたりするんですか?」

「普通の状態で人から霊痕がつくほどのこことはないわ。おそらくだけど、今は、霊痕はさっきの『助逃壁』を壊す時の霊的ダメージのせいで霊が漏れているのよ」

「なるほど」

 橋口さんが指差す。

「神社があるんですって?」

 橋口さんの指さす、その方向だったはずだ。

「ええ。ありました」

「御神体の影が出来る場所があるわ、おそらくそこだとおもう。私に何かあったら、フォローよろしく」

 橋口さんが自身の巨乳を持ち上げながら、ウィンクする。思わず巨乳(そこ)に目がいく。

「えっ?」

「この前、私が気絶してたところを助けてくれたの、忘れた?」

 いや、あの時は、あの、その、橋口さんのおっぱいに夢中だったような……

「ま、あなたの本能の話だと思うから、大丈夫でしょ」

「?」

 すると橋口さんは、まるで行先をしっているかのようにまったく悩むことなく道を選択する。

「ちょっと待っ……」

 自然と足が止まった。

 まっすぐ見据えた先きには、おっさんと、おっさんに金を渡していた男がいた。

 金を渡して、霊を憑けられた男は、今、軍服を着ていた。

 長身痩躯。軍服に軍の帽子、上から外套(マント)を羽織っている。

 こっちに気が付くと、男は外套(マント)をはらった。その手には五芒星が書かれた手袋……

「しまった!」

 橋口さんが言うと、俺は目の前が真っ暗になった。

 布が顔に掛かったようで、もがいて手に取るとそれは橋口さんのトレンチコートだった。

「……くっ」

 目の前で橋口さんが倒れている。

 抱き起そうと近づくと磁石が反発するような力を受ける。

「うわっ!」

 強力な磁石で弾かれたようにしりもちをついてしまう。

「結界よ……」

「結界?」

「単純な結界だけど、単純な分、強力なの。普段なら引っ掛からないんだけど……」

「霊痕ばかりにきを取られているからだ……」

 ニヤリ、と笑った。そしてハゲのおっさんは、こっちに手を振る。

「じゃあな、除霊士さん」

 おっさんは懐から白い紙を取り出すと片手を顔の前に立てて祈る。

 すると、白い紙が空高く飛んで行きながら、大きくなり、色が黒くなった。

「アァーアァー」

「カラス?」

「しまった」

 橋口さんは立ち上がろうとするが、何か見えない力に押し付けらるかのように地面に押し付けられる。

 長身痩躯の男が関係しているようだった。

「じゃあな」

 カラスの足に綱を投げつけると、カラスがそれを掴んだ。

 ハゲのおっさんはそのまま空へ引っ張り上げられて、消えて行った。

「くっ、逃げられた」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ