レア島
「支配者はピュロス海にいる。予想と外れて海底ではなく孤島にいるとのことだ」
支配者からの情報をイリス達に伝える。
「どうやっていくの?」
「走っていくにはそれなりのスピードが必要です」
「船の作り方とかわからないよ」
「濡れるのは嫌よ」
「なにかいい案でもあるの?」
イリス達から質問攻めにされる。無理もないだろう。どこにある孤島かも知れないうえに、海の上を移動する手段もないときた。どうすればいいのか分かるはずもない。
「安心しろ。船はいまから手にいれる」
「場所は?」
「大方の検討はついている」
どうやらなにも心配は要らないようだ。大地はすべての計画を着実に組み立てていたようだ。
「とりあえず、旅館にいくぞ」
理由を理解できないイリス達に構わず、旅館に向かう。
「久しぶりだな」
「ご主人様」
奴隷達に会いに来たわけではない。目的は旅館の所持している一隻の船だ。
「この旅館には大きな船があるはずだ。譲ってもらえないか?」
「いくらあなたの頼みでもそれは」
「二万ゴールドでどうだ」
「どうぞ。ご自由にお使いください」
船を買収。これで足は手にいれた。残るは孤島の場所だけなのだが、
「支配者は言っていた。荒れ狂うピュロス海、と」
「それがどうしたの?」
「ピュロス海は穏やかな海だ。だが、一ヶ所だけ気候が荒く、波が高い場所がある」
「そんなの聞いたことないですよ」
「それは歴史から消された孤島、レア島だ」
レア島。かつては人間が住んでいたが、強力な怪物が現れた影響で絶滅。今はそいつ一人しか住んでいないとのこと。
「そいつが支配者だ」
「おにいちゃん、なんでそんなこと知ってるの?」
「あいつと話していたときに死神の眼で確認した。間違いない」
場所も足も手にいれた。あとは、支配者に負けないだけの実力が必要だ。
「今日からしばらくステータスあげだ。自分の思うままにやれ」
大地の指示通り、イリスは思うがままに魔獣を狩った。全員会わせて四万匹の魔獣を狩る頃には、大地達はモンスターキラーとして名を馳せていた。
「さてと、あれから二週間くらいがたった。ステータスは」
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名前:大神大地 年齢:16 職業:鍛治職人 レベル:???
筋力:22150[+3570]
耐性:22150[+3570]
魔力:22150[+3570]
魔耐:22150[+3570]
能力:鍛治・錬成[+気体][+魔法]・鑑定[+魔法][+魔獣]・身体強化・夜眼・魔力操作
・千里眼・感覚操作・探知・放電・威圧・支配・衝撃波・消失[+魔法]・真眼
・思考伝達・視界共有・創造・身体干渉・精神干渉
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名前:イリス・アルテミス 年齢:500 職業:吸血鬼 レベル:95
筋力:400
耐性:400
魔力:26000
魔耐:26000
能力:・再生・再生操作・波動・斬撃・探知・身体強化・夜眼・魔力操作・支配
・衝撃波・精神干渉
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名前:イリア・アルテミス 年齢:495 職業:吸血鬼 レベル:90
筋力:350
耐性:350
魔力:22000
魔耐:22000
能力:・再生・再生操作・波動・斬撃・探知・身体強化・夜眼・魔力操作・支配
・衝撃波・身体干渉
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名前:大神夜空 年齢:10 職業:妹 レベル:148
筋力:30
耐性:30
魔力:38000
魔耐:38000
能力:・金剛・威圧・複写・再生操作・再生・構築・超電磁砲・衝撃波・神速
・夜眼・魔力操作・支配・身体強化・千里眼・精神干渉・隕石誘導
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名前:ラミア・ネメシス 年齢:9 職業:奴隷 レベル:85
筋力:12500[+10000]
耐性:12500[+10000]
魔力:250 [+2000]
魔耐:250 [+2000]
能力:・竜化・衝撃波・身体強化・金剛・感覚操作・千里眼・結界・探知・火焔・飛行
・衝撃重複・発熱
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名前:レイア 年齢:800 職業:??? レベル:170
筋力:500
耐性:500
魔力:47000
魔耐:47000
能力:・再生・再生操作・探知・身体強化・魔力操作・歪曲・千里眼・技能強化・感覚操作
・能力保持・精神干渉・身体干渉
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圧倒的に強くなったのは誰がみても明らかだろう。
精神干渉。相手の精神に干渉して集中力を乱す。うまく使えば相手をノイローゼに追い込むこともできる。
身体干渉。相手の身体に干渉して行動力を奪う。うまく使えば相手を自滅させることも可能となる。
隕石誘導。隕石といっても宇宙にある隕石ではない。身近な岩を、空中にテレポートさせ隕石のように落とす。この際、落下地点を選べるが、一度決めると変えられない。使い方によっては国を滅ぼすことも救うことも出来る。
衝撃重複。攻撃を二重にも三重にも重ねることが出来る。ただし、重ねた分だけ魔力は倍になっていく。
発熱。竜のみが使える。体を高温に発熱させる。魔力量に応じて温度はどんどんと上がっていくが、体の限界を越える温度は不可能。
能力保持。特殊な技能。放った魔法は距離が延びていくにつれ、威力が落ちていく。だが、この能力は、どこまで距離が延びても威力を落とさない。
これらの能力は、大地たちが魔獣を狩っていくうちに覚えたものだ。化け物がさらに化け物じみていく。
「行くか。戦場へ」
「余裕だよ。いまならなんでも殺せる」
「早く戦いたくて仕方がないです」
「おにいちゃん。この闘志をおさえきれないよ」
「高ぶってるわ。少々やり過ぎてしまうかも知れないわね」
「元支配者の血が騒ぐよっ。久しぶりに暴れてみようかな」
恐ろしいオーラを纏っている。戦闘のなかで考えが荒んでしまったようだ。時間がたてば元に戻るだろ。
「いくぞ。レア島に」
船に乗り海へ出た。操縦の仕方はすでに勉強済み。運転に迷いはない。
「このまま一直線に進めばいい。お前達は寝ろ。体力を回復しておけ」
大地の指示通り、イリス達は眠りにつく。それを微笑むように見守る大地。
「殺さなくても・・・・・いいんじゃないか」
誰にいうでもなくぼそりと呟く。口から出た声は、だれにも届かず消えていった。
「あと五時間ほどだ」
レア島到着まで残り五時間。それまで、大地は飽きることなくイリス達の寝顔を見てたとか見てなかったとか。
「おい、ついたぞ」
「んん。もっと、もっとしてぇ」
「そんなとこ、だめぇ」
「おにいちゃん、妹でいいの?」
「別に、いやじゃ、ないわよ」
「そこ、ひろげ、ないで」
各々ピンク色の夢を見ているようなので、邪魔をしないよう自然に起きるのを待った。三時間も。
「ここがレア島?」
イリス達の頭上にクエスチョンマークが浮かぶ。それは、目の前に映る景色をみれば当たり前の反応だった。
「人間は絶滅したと聞いていたが」
「なにか変だよ」
「これはおかしいですね」
「七百年前に絶滅したのよね?」
「じゃぁ、なんでこんなに」
大地たちの目の前には、豊かな自然が広がっていた。それも、自然に出来るはずのないくらい綺麗に果樹が並んでいた。
それだけではない。人工的に作られた大きな池や、綺麗に処理された雑草。どうみても人間が住んでいるような形跡がある。
「人間はいない。だったらこれをやったのは」
大地の脳内に嫌な想像が広がる。
「この広い島を全部あいつが」
面積はおおよそ四千九百平方メートルほど。そこそこ大きな島で、雑草を抜いたり、池を作ったり、果樹を育てたりしている、あののじゃのじゃ支配者を思い浮かべると胸がチクリと痛む。
孤独な支配者を救う。いや、救わなければならない。支配者であろうと、あれは人だ。一人で誰にも助けを求められず、ただ、無意味に生きてきたなんて大地は許さない。かならず、その命に価値を宿すだろう。
大地は強い意思を胸に、支配者の元へと歩き出した。
 




