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教育係は心配性

 入社して三か月、オウムちゃんはそれなりに、仕事に慣れてきたようだ。

 それでも手を抜かず、根は詰め過ぎず、相変わらずゆったりと、働いている。

 そんなある日の事、お茶を入れに行ってくれた、彼女の帰りが遅かった。給湯室で、井戸端会議なんて習慣は、無いはずだ。心配になって、トイレ休憩がてら、給湯室の様子を、うかがってみたが、物音は聞こえてこない。

 さっと覗いてみても、誰も居なかった。

 女の子だから、化粧室で時間がかかる事も、あるのだろう。

 本来の目的であるはずの用を足し、席に戻って仕事に手をつけたが、5分もしないうちに、手につかなくなった。

 ちょうど、化粧室から戻った女子社員に、それとなく様子を聞いてみるも、他の子が入っていた気配は無かったそうだ。

 急に具合が悪くなって、医務室にでも行ったんだろうか。

 さりげなく席を抜け出し、彼女を探す事にした。


 まずは2階にある医務室。

「あら、珍しい。何か悪いものでも食べてお腹を壊したのかい」

「確かにここに世話になった事はないけどさ、それはあんまりじゃないかな」

 女医さんは、がっはっはと笑う。

 部署は全く違うけれど、入社した年も年齢も近く、気心が知れていて、同期のような存在の彼女は、医務室を一人で切り盛りしている。結婚はしていないのに、肝っ玉母さん、と言う表現が、しっくりくる女傑だ。

「ウチの若い子がお茶を入れに行ったまま戻らなくてさ、こっちに来てないかと思って」

「今日来たのは胸が苦しいってジイさんだけさね、調べてみたけど不整脈も出てないし、ストレスだろうねぇ、あんたも気をつけな」


 ここには来ていないらしい。

 心配してもらった礼もそこそこに、医務室を後にした。

 何かに挫折して、たそがれているのかと、屋上に向かってみたが、休憩時間でもない屋上には、当然ながら誰も居なかった。

 こうなると、思い当たる場所は無い。

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